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毎日、指導者の看護師か、もしくは、受け持ちの看護師に、測ったバイタルや行ったケアを報告すると思います。
報告って、めちゃめちゃ緊張しますよね…
なにが緊張するって、看護学生が聞きたくない言葉ランキング(なんてランキングがあれば)、堂々の1位を取るであろう
根拠は…?
ですよね。
これ言われると、仮に分かっていることであったとしても、答えられなくなります。
これくらいのプレッシャーがあるので、分かっていなかった日には、震えが止まらないですよね
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
あの人たちは、何であんな言い方するんだろう…
……。
話を戻しましょう…。
SNSでもよく見かけますが、「挨拶しても無視される」・「報告したいけど無視される」などの理不尽と、今日も全国の看護学生たちは、戦っているんだろうなと思うと、胸が痛みます…。
そこで、ここまで書いてきたアセスメントやSOAPなどの「記録物」には関係ないんですが、困っている人は多い「指導者さんへの報告に関係するポイント」をまとめてみました。
ちなみに、僕は結構「お局様」と呼ばれる人と、上手く関係を築けてきた方だと思っています。
報告以前に、そもそも苦手過ぎて、話すことも呼びかけることもできません…
…という方は、良かったら、こちらの記事も読んでみてください
1.報告をするとき大切な「5つのポイント」
今回の「報告」のポイントは、次の5つです。
・タイミング
・伝え方
・自分の考え
・今後どうするか
・SBARを使ってみる
※マーカーの緑と赤の色の違いは、重要度の違いではありません。
緑は指導者への対応の仕方、赤は報告の内容についてのポイントで色分けをしています
それぞれについて、細かく解説していきます。
2.報告のタイミングを見極める
実習病院の中には、患者さんを受け持たずに学生に付きっきりで指導する担当看護師を配置してくれるところもあります。
しかし、患者さんの受け持ちをしながら指導をしている看護師の方が多いです。
そのため、ケアをしたり、記録したりしながら学生指導に当たるので、忙しく時間が取りにくい指導者が多いです。
上のイラストのように、にこやかに報告を聞いてくれればいいですが、勇気を振り絞って
今、お時間よろしいでしょうか?
と、声をかけてみたら…
今、忙しいんだけど!?
今、報告聞けるように見える!?
って言われた…。
なんて事を耳にしたことや、経験したこともあんじゃないでしょうか?
そんなことを一回言われてしまったら、次から声をかけること自体が、不安になってしまうと思います。
①タイミングを判断するために「観察」する
今、忙しいんだけど!?
今、報告聞けるように見える!?
実習中、報告の時に怒られる機会が多くて
「もう、どのタイミングで話しかけたらいいのか、分からなくなってきた」
「声をかけるのが怖くなってしまった」
と思っている学生さんも多いと思います。
ここで大事になるのが「観察」です。
患者さん同様に指導者さんの観察をしてみてください。
例えば
- どのくらいのスピードで動いているのか
- 今、何をしているのか
などです。
作業やケアには、必ず「合間」があります。
この作業をしているなら、これくらい時間が経てば次の所に移動するだろう!
というように行動を見て、その「合間」のタイミングを予測して待つようにすると良いです。
指導者さんの観察をすることで、この「合間のタイミング」を予測することができます。
作業やケアの合間が分かれば、タイミング悪く声をかけて、イライラされるということも減ります。
3.伝え方を変えてみる —開いた質問を使って、報告時間を確認する—
よく「指導者さんにはこんなふうに声をかけましょう」と言われる声掛けの仕方が、さっき登場した
今、お時間よろしいでしょうか?
今、報告させていただいてよろしいですか?
などです。(僕は学生時代に、こう教わりました)
でも、教えてもらった通り、丁寧に言ったのにもかかわらず
今、忙しいんだけど!?
今、報告聞けるように見える!?
と言われてしまうのは、なぜでしょうか?
相手(指導者)の態度に問題がある
指導者なんだから報告聞くのが仕事でしょ
という問題や疑問はいくつかあると思いますが、それはここでは一旦置いておいて、「丁寧な言葉を使っても指導者をイライラさせてしまう原因」について考えてみましょう。
「報告よろしいですか?」
「報告聞いていただけますか?」
言葉はとても丁寧ですが、これらは「今、報告を聞くことが前提」の訊き方になっているんです。
そういうつもりで言っていなくても、「今すぐに聞いて!」という意味が伝わってしまいます。
「忙しいのに報告を聞かなければならない」という、一択を迫られる(選択肢がない聞き方)というのが、相手をイライラさせてしまう原因の1つです。
また、「今すぐに聞いて」という意味が含まれているのに、逆に言葉は丁寧すぎるからこそ、余計にイライラさせてしまうということもあるかもしれません。
「今すぐ」という相手の都合を考えていないのに、言葉は丁寧という矛盾が、嫌味っぽく聞こえる可能性があるということですね。
(別に相手の都合を考えずに言ってるわけではないんですけどね。その辺の学生さんの気持ちは汲み取ってもらえないんですよね…。)
では、どういった聞き方をしたら、嫌味と受け取られず、イライラされない聞き方になるのか?
それは
報告を聞いていただきたいのですが
いつ頃でしたらお時間いただけますか?
※これは、あくまでも一例です
このように聞くと、報告を「聞くか・聞かないか (閉じた質問)」の選択を迫るのではなく、「いつ」聞けるのかを聞いている(開いた質問)ので、質問された相手が自由に答えられる分、イライラされにくくなります。
(とは言え、いくら聞き方を工夫しても、急いでいる歩いてたり忙しそうにしたりしている所に、「ちょっとすみません」と声を掛けたら怒られると思います。声を掛ける「タイミング」は大事!)
観察をして、良いタイミングを見極めたうえで、聞き方・伝え方を変えると、必要以上にイライラされるということは無くなります。
①相手の為ではなく、自分のために「気を遣う」
正直言って
何でこんなに気を遣わなきゃいけないの?
と思う気持ちはあるかと思います。
実習中、僕もそう思っていたので、その気持ちはすごくよく分かります。
でも、残念ながら相手を変えることは不可能なんです。
「平和な実習を過ごすため」
「自分の観察力とコミュニケーション能力を向上させるため」
自分のために、この気遣いは必要なんです。
決して相手を良い思いにするために、気遣いをしているわけではありません。
「自分のため」と思って、乗り越えていきましょう。
※ただし、あまりにも理不尽なこととは戦わないでください。理不尽な事があったら教員にすぐに報告・相談をしてください
くれぐれも独りで我慢をしないでください!
4.報告とは「自分の考え・この後どうするか」を報告するもの —「で?根拠は?」のあとに続く言葉—
で…?
「で?(どうしたいの?)」…、たった一文字なのになんという破壊力のある言葉なんでしょうか?
こんなにも威圧的で恐ろしい言葉があるでしょうか?
実習でも、臨床出てからも言われたし、言われているのを聞いたり見たりしました。
その度に心の中でこうつぶやいてました
え?…「で」のあとに続きないの?
何この沈黙とプレッシャーは?
と…。
この「で…?」というセリフは、バイタルや患者さんの状態を伝えた時に言われることが多いと思います。
では、なぜこの場面で、「で…?」と言われてしまうのでしょうか?
それは「自分の考えを伝えていないから」です。
例えば
体温〇℃、血圧170/90、脈拍〇回、、、血圧が異常値でした。以上です。
…報告終了。
もし、このような報告をしたら、「で?」と返されて、無言のプレッシャーを受けることになるでしょう。
「血圧の異常値」を報告している=自分の考えを伝えている、と思うかもしれません。
しかし、これは「考え」ではなく「事実」です。
指導者が知りたいのは、その先にある「異常だから、この後どうしていくのか(何が必要と考えているのか)」という、その後の行動です。
これが「自分の考え」(つまりアセスメントです)にあたります。
報告を受ける側からすると、血圧が異常値なのは数値を聞いたら分かるので
- 今、患者さんに自覚症状があるのか
- 異常値だけど、普段との差はどうなのか
- このまま経過を見れる状態なのか、危険な状態で何か処置をしなければならないのか
など、こういった情報の方が重要であり、知りたいことなんです。
あの語気の強い「で!?」には
で…?
(あなたはこれを見て、この後どう行動をしていこうと考えているんですか?教えてください。)
という意味が含まれているんです。
(どう考えても、あまりに言葉足らずだとは思いますが…)
そのため
異常値ですが、入院時からこの値で経過しているので、自覚症状確認しながら、「経過観察」をしていきます。
というように、今見てきた事実から「どう考えて、どう行動していこうと思っているか」を報告する。
そうすることで、「で…?」と言われずに、スムーズにアドバイスを貰えるようになります。
ぜひ、一度「どう考えて、どう行動していこうと思っているか」を意識して報告してみてください。
5.「SBAR」を使って報告してみる
報告をするためのツールに、SBAR(エスバー)というものがあります。
これは、報告する内容の頭文字を取ったものです。
- SはSituationで状況・状態
- BはBackgroundで背景・経過
- AはAssessmentで
評価・アセスメント - RはRecommendationで
依頼・要請
最近はここに 、識別するという単語の「Identify=報告者・対象者」や、確認するという単語である「Confirm=指示の復唱」が加わり、「I-SBAR」、「I-SBARC」ということもあるようです。
最近追加された報告者・対象者や指示の復唱はとても大切なことですが、「報告の内容」に関しては「SBAR」を覚えておけば大丈夫です。
下に、簡単にI-SBARCを使った報告の例を書いてみました。
良かったら参考にしてみてください。
I-SBARC | ||
---|---|---|
Identify 報告者・対象者 | 報告者の所属と名前、対象の患者の部屋と名前(フルネーム) | 〇〇病棟の●●です 〇〇号室に入院中で▲▲先生の患者さんなんですが |
Situation 状況、状態 | 報告する理由となった症状や状態、現状 | 訪室すると発語が不明瞭になり、右上下肢の麻痺が出現しています |
Background 背景、経過 | 入院の契機と経過、起こった出来事、バイタル・フィジカルの状況 | 心不全で入院中で、既往に心房細動がある方です。30分ほど前までは、異常がないことを確認していましたが、再度訪室すると失語と右麻痺が見られ、VSはBP○○、HR○○… |
Assessment 評価 | アセスメント(今あるデータから自分がどう判断しているか) | 心原性脳梗塞を発症した可能性を考えています。 |
Recommend 依頼、要請 | アセスメントの結果「何をしてのほしいか」「何をしようとしているか」 | そのため、診察と、必要でしたらCT・MRI検査のオーダーをお願いします。 |
Confirm 指示の復唱 | 口頭指示を復唱して確認(薬剤名や数字、単位数などは間違いやすいので特に重要) | CT、MRIですね。すぐ準備して検査室に向かいます |
個人的には、「SBAR」で重要なポイントは、S:状況、B:経過、A:アセスメントをできるだけ簡潔にまとめることだと思っています。
医師は本当に忙しいです。そして、短い時間で結論を出して看護師に指示をしなければなりません。
その報告が重要・緊急であればあるほど。
そのため、余計な部分の報告があると、医師のアセスメントの邪魔になってしまいます。
さらには、忙しい医師の時間を奪ってしまうことにもなります。
また、もう1点、ポイントというか注意点です。
看護師は診断はできません。
そのため、R:提案の部分は慎重に伝えなければなりません。
自分が観察したことからアセスメントしたことを伝えたとしても、病名を確定させたり、判断をするような伝え方をしないように「提案」をしていきましょう。
ここはちょっと程度が難しい
実習でSBARを使って報告する場合も同様で、SBAを簡潔にまとめつつ、Rは確定した言い方をしないように気を付けましょう。
報告する内容の緊急度が低ければ、いきなり報告するよりかは、一度メモなどでまとめてから、報告をすることと良いでしょう。
6.まとめ
ポイントのまとめ
- 観察して話しかけるタイミングを予測する
- 2択を迫る閉じた質問ではなく、自由に答えられる開いた質問で報告できるタイミングを確認する
- 報告は「事実」だけではなく、それを見て自分が何を考えて、この後どう行動するかまで報告する
- SBARを使ってみる
これで今回の「報告のポイント編」は終了となります。
いかがだったでしょうか?
「報告」はとても緊張します。
実習を重ねていく毎に、怒られることも増えていき、より緊張は増していきますよね。
指導者の動きを見て予測しつつ、自分の考えを上手く伝えていき、報告に慣れていきましょう。
みなさんの実習が、少しでも楽に、楽しいものになるように願っています。
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他にも、実習が辛い、記録が苦手という方のために、「事前学習の仕方」から「上手な振り返りの発表の仕方」までポイントを書いているので、良かったら参考にしてみてください
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