介護を一瞬で楽にする方法「支持基底面を意識する」

介護が楽になる支持基底面のサムネイル

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「介護が大変」

そうイメージしている人も、実際介護を経験してにそう感じている人も多いでしょう

イメージ通り介護は、本当に大変だと思います。

看護師として8時間、患者さんに関わっているだけでも大変です。
しかし、家族の介護となると、常に介護と関わらっていなければなりません。

こういった「休みがない」ということも大変ですが、ある日突然介護をしなければならなくなるため、介護技術を習得していない状態で介護をするということも、身体への負担が高い理由の1つでもあります。

教えてもらう機会がない技術を、ある日から急に始めなければならない。
それは「力ずく」でやるしかないですよね?

力ずくでやってしまうと身体を壊してしまうのは必然でしょう。

そこで今回は、意識すれば今すぐできる介護を楽にする知識、「支持基底面」について紹介したいと思います。

特別難しい技術ではないため、「誰でも」・「いつでも」行うことが出来る技術ですので、良ければ参考にしてみてください。

目次

1.介護が一瞬で楽になるコツ「支持基底面」とは

介護をするうえで、大切な事の1つに「支持基底面」というものがあります。

看護や介護の学校でも、始めに教えてくれることですが、3年間教わってきたにもかかわらず、実際の現場で、意識できていない人も意外と多いです。

意識できていないのは、「難しい」ではなく、忘れてしまっているだけです。

忙しい中でも、意識してみると、身体の負担が変わります。

①支持基底面とは、身体を支えている面積のこと

支持基底面(base of support:BOS)とは、体重や重力により圧を感じることができる身体表面(支持面)と、その間にできる底面のことをいう

理学療法ジャーナル 44巻8号 (2010年8月)より引用

簡単に言うと、自分の体を支えている面積のことです。

…ですが、言葉で言われても、いまいちピンッと来ないと思うので、図で説明していきます

支持基底面とは、図のように足の幅を囲った「赤い四角の範囲」のことです。

例えば、足の幅を広げると、支持基底面は次の図のように変わります。

足の幅を横に広げた分、支持基底面も広がりましたね。

支持基底面は、このように上下(前後)にも広がります。

支持基底面が広いと、下半身が安定します。
ようは、土台がしっかりするということですね。

下半身の力を上手く上半身に伝えるためには、下半身の安定が必要です。
下半身が安定すると、上手く力を出すことができるんです。

例えば、下の図のように、杖をついたり、四つん這いになったり、椅子や壁に手を添えたりした場合は、支えている「点」が増えるので、その分「支持基底面」が広がります。

こういった理由があるため、足腰が弱くなったり、痛みがある人は、何か支えがあると立つことが楽になるんです。

②太い丸太の方が倒れにくい

ベッドの横に立って、清拭(体を拭くこと)やオムツ交換、体位変換(体の向きを変えること)をすると、行動・行為に意識が向いてしまい、気が付くと、左右の足の幅が狭くなっていることがあります

特に、自分よりも大きい人のケアを行うときは、遠くに手を伸ばそうと意識するので、余計に足への意識が薄れます。

上の図は、太さの違う2本の丸太です。

Qどちらの方が、倒れやすいでしょうか?

そうです!細い方が倒れやすいですよね。

細い=支持基底面が小さい、太い=支持基底面が大きいと考えてみてください。

つまり、支持基底面が広い方が、倒れにくい=バランスが良いということになります。

③バランスが悪いと、力が分散してしまう

片足立ちをしてみてください。

右に重心が寄ったり、左に重心が寄ったり、それを真っ直ぐに保とうとします。
真っすぐ立てていると思っても、わずかに前後左右バランスを取ります。

片足で立っている方の足の筋肉を意識してみましょう。
そうすると、バランスを取るのに、たくさんの筋肉を使っているのが分かるかと思います。

片足で立つとグラグラして不安定になります。
バランスを取るために、いろんな筋肉を使っているということは、筋力をバランスに割いているということです。
つまり、それだけ力が分散してしまっているということです。

逆を言えば、全身の力を出す基盤となる足元を安定させること、つまり支持基底面を広くとって安定させることは、足からの力を無駄なく上半身に伝えるために、とても大切なことということです。

2.足の幅を意識する以外の、介護を楽にする方法

足の幅を意識するだけで、介護が楽になる!

たったそれだけで?本当に?

と思うかもしれませんが、それだけでも、かなり介護の負担が減ります。

こんな感じに、少しずつですが「介護を楽にする方法」を伝えていけたらなと思います。

他にも、肩甲骨や重心を意識するだけでも、普段の介護が楽になるコツがありますので、良ければこちらも参考にしてください。

3.現代日本の介護問題

少子高齢化が問題になっている昨今、介護の領域では

  • 老々介護
  • ヤングケアラー
  • ダブルケア

など、さまざまな問題があります。

ご高齢の方が、ご高齢の方を介護している「老々介護」
正直、あまり好きな言葉ではありませんが)

看護師として病院で勤務をしていて、こういった世帯が多い印象を持っていました。

たくさんの入院患者さんと会ってきましたが、高齢の男性患者さんの面会に来る奥様が、すごく小さいなんてこともよくありました。

実際に、日本では「高齢者のみの世帯」が、2022年の調査で60%を超えていることが分かっています。

4.家で介護をしている半分以上が高齢者、もしくは女性

今の日本は

  • 在宅で介護をしている60%は65歳以上
  • 在宅で介護をしている60%は女性

と言われています。

病院に面会に来る小さな奥様を見て、僕は「家で、この人が介護してたんだよなぁ…」、「この小さい身体で、どうやって介護してたんだろう…」と感じていました。

基本的に、男性より女性の方が身体も小さく、力も弱い
ましてや、ご高齢であればより力が弱い方が多い

この在宅で介護をしている「60%」の中には、この人のように、「自分よりも大きい人を、小さくても、力が弱くても何とか力だけで頑張って介護している人」が含まれています。

こういった人たちを

少しでもなんとかしてあげたい
介護をしている人が頑張りすぎてつらくなる状況をなんとかしたい

この時の想いが、僕の今の仕事に繋がっています。

5.まとめ

力が弱い人
身体が小さい人

介護をしていくのに不利な体格、体質の人はいます。

これらは変えることができませんが、少しの工夫でそれをカバーすることもできます。

また、世の中には習得には少しコツがいるかもしれませんが、様々な「介護を楽にする技術」もあります。

これらを知るきっかけ、少しでも介護が楽になるきっかけになれたら幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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