詳しいプロフィールを知りたいはこちらから
介護について相談したいという方はこちらから
家で介護をしていると
- 何度も同じことを話す
- 自分でできないことを1人でしようとする
- 言ったことを理解してくれない(約束を守ってくれない)
こんなことにイライラすることがあるのではないでしょうか?
そして
イライラしてしまう自分、優しくできない自分を責めてしまうこともあるのではないでしょうか?
正直
介護職・看護職でもイライラすることはあります。
ですが
仕事であれば終わりがあるんです
終わりがあると考えれば、我慢もできるし、優しくすることもできます。
できないくらいのことも時にありますが…
しかし
家族はそうはいきません。
家族の介護は、24時間・365日、休みなく関わらなければならない。
休みなく関わるからこそ、優しくなれない・イライラしてしまう。
人は、余裕があるから、人に対して優しくできます。
余裕がない中で、優しくできないことは普通のことです。
何も特別なことではありません。
ですが
大切な家族に対して、優しく接することができない自分を、責めてしまう気持ちも分かります。
そこで今回は
コミュニケーションを取る上でのコツを紹介します。
介護が楽になる身体の使い方も書いています。よろしければこちらもご覧ください。
1.コミュニケーションのコツは、非言語的コミュニケーションを意識する
介護で大変なことを聞いたアンケートでは、『コミュニケーションが大変』が1位という結果が出ました。
介護している人にも、看ている家族の状態にもよりますが、在宅介護をしている中で、コミュニケーションの悩みは少なくはないでしょう。
ここでは
コミュニケーションの種類について解説していきます。
コミュニケーションには
- 言語的コミュニケーション
- 非言語的コミュニケーション
この2つがあります
言語的コミュニケーションは
言葉を使ったコミュニケーションのことをいいます
非言語的コミュニケーションはジェスチャーや表情、声など、言葉以外のコミュニケーションに影響を与える要因のことをいいます
人は言葉をとても大切にしますが、相手の印象に大きな影響を与えているのは、非言語的コミュニケーションの方です。
①言葉の印象はたったの7%!【メラビアンの法則】
非言語的コミュニケーションが、どのくらい相手に影響を与えることができるのでしょうか?
上の図は、コミュニケーションを「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」に分け、それぞれがどれくらい影響するかを表したものです。(メラビアンの法則といいます)
このメラビアンの法則の中で、言葉が相手に与える影響は全体のたった7%だと言われています。
そして、残りの93%のうち
- 55%は視覚情報(表情、しぐさなど)
- 38%は聴覚情報(声の大きさ、声のトーンなど)
といわれています。
言葉だけだとイメージしにくいので、具体例を出して解説していきます。
例えば
「ありがとう」と言われたところを想像してください。
「ありがとう」という言葉は、良い印象の言葉ですよね
ですが、それを言っている相手が
- 眉間にしわが寄ってる
- こっちに顔を向けてない
と、このような態度で言っていとしたら、印象はどうでしょうか?
また
後ろから声を掛けられて表情は見えないとして
- 声が低い
- 声が小さい(ボソボソ話す)
だったら、どんな印象でしょうか?
「ありがとう」という言葉の良い印象より
見た目や声からの悪い印象の方が強く感じませんか?
このように
人は言葉以上に視覚情報や聴覚情報を重視します
つまり
コミュニケーションを取る場合、言葉以上に表情や声のトーンなどの、非言語的コミュニケーションに注意が必要ということです。
②声のトーンや大きさ、表情を意識的に変えれば、今より13倍も良い印象持ってもらえる
人と話しているときに、言葉には気を付けていても、自分の表情や声に意識を向けていることはあまりないのではないでしょうか?
コミュニケーションで受け取る印象のうちの、7%である言葉には意識を向けれていて、93%の表情や声には意識が向いていない。
今の自分のコミュニケーションが、もしそうだとすれば、表情や声に意識を向けるだけで、今までの13倍も良い印象を与えることができるということです。
話をしているとき、ぜひ、自分の表情や声などの非言語的コミュニケーションに意識を向けてみましょう。
2.少しの工夫で大きな変化!コミュニケーションのコツは「ゆっくりと」
ここからは
コミュニケーションの具体的なコツについて解説していきます。
介護をしていく中で、コミュニケーションの最大のコツは「ゆっくり」です。
- ゆっくり話をする
- ゆっくり触れる
ゆっくりを意識することで相手は
大切にされている
と感じます。
つまり「優しさ」が伝わります。
穏やかな優しい人は「ゆっくり」「丁寧」というイメージではないでしょうか?
このように、ゆっくりとした動作には「優しい」という印象が含まれています。
反対に、優しくなれない、イライラすると感じた時のことを振り返ってみると、動きは早くなっているはずです。
優しくできない、イライラすると気が付いた時は、「ゆっくり」を意識してみましょう。
相手は優しさを感じ、自分はゆっくりした動きに気持ちが引き寄せられて、少し気持ちが落ち着いてくるはずです。
①ゆっくり話す
ゆっくり話すことは、相手に優しい印象を与えるだけでなく、相手に聞き取りやすいという特徴があります。
また、呼吸がゆっくりになるため、落ち着きを取り戻すことができるというメリットがあります
高齢の方は、どうしても聴力が落ちるため、聞き取りが困難になってしまうケースがあります。
また、判断力や認知機能も低下していきます。
そこに認知症を患っていれば、さらに認知機能や判断力は下がります。
ゆっくり話すことで、こういったにコミュニケーションを取るのが難しい方でも、理解しやすく、聞き取りやすくすることができます。
②ゆっくり触れる
「触れる」。専門用語では「タッチング」といいます。
手や腕・肩などを触れる「タッチング」には、安心感を与える効果があります。
そして「ゆっくり」を意識して触れることで、相手はより優しさを感じてくれるんです。
赤ちゃんを触る時や、好きな動物を触る時を想像してみてください。
ゆっくり優しく触りますよね?
優しく触られた赤ちゃんや動物は、とても気持ちよさそうですよね。
ゆっくり柔らかく触れると、「優しい」という印象を受けます。
優しさを感じてくれると、相手は穏やかな気持ちになります。
触れる時は、赤ちゃんや小さい動物などを触るようなイメージで、ゆっくり触れましょう。
1)触れるときは「下から支える」
介護をするうえで、「触れる」ポイントとして覚えておいて欲しいのは「下から支える」ことです。
例えば
おもちゃの前で「買って買って!!」と、駄々をこねている子どもがいるとします。
早く帰って夕飯の支度をしなければいけないのに、わがままを言う子どもにイライラしている
そんな時に
早く来なさい!
と、こどもの手を引っぱってお店を出たとします
この時
子どもの手をどんな風に触っているのを想像しましたか?
きっと「上から掴む」というイメージだったのではないでしょうか?
このように
「上から掴む」という行為は、人に対して嫌な印象を与えます。
反対に
下から支えるように触れると「優しさ」が伝わります。
優しい気持ちになれなくても、ゆっくりと「下から支える」を意識する。
そうすることで、「優しさ」が伝わった相手からの反応が変わるはずです。
③ネガティブな感情は相手に伝わりやすい
冒頭で家族を介護する中で
「優しくなれない」
「イライラする」
そんな瞬間は誰にでもある!と書きました。
誰にでもある当たり前のことですが、このようなネガティブな感情は相手に伝わりやすいんです。
人間なので、ネガティブな感情はあって当たり前です。
なので、ネガティブな感情を持ってはいけないということではありません。
ネガティブな感情を持ったとしても、相手に伝わらないようにする。
ネガティブな感情を持っていても、優しさが伝わるようにする。
これが技術です。
その技術が「ゆっくり」というわけです。
3.アイコンタクトが大切!自分から目線の高さを合わせて視線を拾いにいく
コミュニケーションは、アイコンタクト、目を合わせることが大切です。
- 目は口程に物を言う
- 上から目線
- 見下す
このように、目線に関して様々な言葉があります。
昔からアイコンタクトは、人間関係に大きな影響を与える要素とされてたということですね。
ここでは
- 目線の高さを合わせる
- 視線を拾いに行く
という2つのコツを紹介します
①目線の高さを合わせる
目の高さを合わせることで、相手に良い印象を与えることができます。
この章の最初に、例として挙げましたが
- 上から目線
- 見下す
という言葉、良い印象の言葉ではありませんよね。
人は上から見られると不快な気持ちになります。
しかし
介護をしていると、自分は立っていて相手は座っている、もしくは寝ているという状態のことが多く、意識しなければ見下ろす場面が多くなります。
そこで
自分がしゃがむなり、座るなりして、目線の高さを意識的に合わせます。
そうすると
上から見下ろされているという圧迫感がなくなり、優しい印象になります
②視線は自分から拾いに行く
目が合わない場合は、ゆっくり自分から視線を合わせに行きましょう。
認知症の方や抑うつ(うつ傾向)の方の場合、目を合わせてくれない(こちらを認識してくれない)場合があります。
高齢の方や脳出血・脳梗塞などを患っている場合も、視野が狭くなったり、認識ができなくなったりしていて、目が合わない場合があります。
そんなときは
少し遠くから相手の視野に入っていき、ゆっくり近づきながら視線を合わせましょう!
急に横から視野に入ってくるとびっくりするので
「少し遠く」から「ゆっくり」がポイントです
この時、目線の高さも合わせていくと良いでしょう
4.上手なコミュニケーションを取るメリット2選
「ゆっくり」と「アイコンタクト」を意識するだけでも、優しさは充分伝わります。
優しさを伝えられる上手なコミュニケーションが取れると、次のようなメリットがあります。
- 認知症の症状が落ち着く・和らぐ
- 穏やかな気持ちで介護ができる時間が増える
それぞれ解説していきます。
①認知症の症状が落ち着く・和らぐ
認知症の症状は、安心を感じてもらえると和らぐことがあります
反対に
不安であったり、怖さであったりと、ネガティブな感情は認知症の症状を一時的に悪化させます。
不安や怖さ、痛み、不快さを感じていても、上手く伝えることができない。
そのため
落ち着きがなくなったり、徘徊したりという行動で、なんとか自分のことを伝えようとしているんです。
そういった行動が見られると、介護している家族は困ってしまいますよね。
そして
お互いに伝わらない思いが交差して、お互いがイライラしてしまいます。
ですが
ここで「ゆっくり」と「視線の高さ」を意識してみましょう。
そうすると
落ち着かない相手に「優しさ」が伝わるので安心してくれます。
安心してくれると、症状が落ち着くことがあります。
痛みや身体の不快感の場合は、「安心」や「優しさ」では落ち着きません。
しかし、それで落ち着かない場合は、逆に言えば、体の不調を疑ってみてもいいかもしれません。
このように、認知症の症状を落ち着かせるだけでなく、体の不調を早期発見できることもあるというメリットもあります。
②穏やかな気持ちで介護ができる
イライラしているときや、焦っているときは、早口になり呼吸も荒くなります。
そうすると、伝わりにくい言い方になり、伝わらないことで余計イライラしてしまいます。
ゆっくり話すためには、呼吸をゆっくりする必要があります。
ゆっくり呼吸をするとリラックスできます。
その結果、イライラを少し抑えることができます。
またゆっくり動くことも同じで、自分の気持ちを落ち着かせることができます。
イライラしたり焦ったりしてるのに、ゆっくり動いている人は、あまりいませんよね?
人は行動に感情が引っ張られる生き物です。
「ゆっくり」という行動をとることで、「落ち着く」という感情がついてきます。
5.つらい!不安!限界!そんなメンタルになったら、無理せず独りで抱えない
- 家族のことだから頑張らなきゃ
- 家族なんだから看るのが当たり前
- 自分しか看る人がいないから
在宅で介護していると、「家族だから」ということを理由に、独りで頑張りすぎてしまう人が多くいます。
頑張りすぎてしまって
- 自分の体を壊してしまう
- 介護うつになってしまう
こんなことも少なくありません
最悪の場合、ストレスが溜まり過ぎて虐待にまで発展してしまうこともあります。
そうならないためにも、独りで抱え込まないということが介護では本当に大切です。
①家族だからこそ我慢できないこともある
家族だからこそ我慢ができない
家族だからこそイライラしてしまう
家族だからこそ優しくできない
家族だからこそ、こんなネガティブな気持ちになることがあるということを知ってください。
そして、そんな自分を許してあげて欲しいんです。
介護を頑張っている人は、「家族だから」という理由で、自分が無理をしてでも頑張ります。
そして
イライラしたり、余裕がなくなり優しくなれなかったりすると
家族なのに、何でこんなにイライラしてしまうんだろう
家族に優しくできない自分は、なんて冷たい人間なんだ
と、自分を責めてしまいます。
ですが
家族だからイライラするし、家族だから我慢できないことがあるんです。
家族の間には、たくさんの積み重ねがあります。
良い思い出の積み重ねも、反対に悪い思い出の積み重ねも…。
悪い思い出の積み重ねがある場合、「なんで自分が介護しなければいけないんだろうか」という想いと、「家族だから」・「育ててもらったから」という相反する想いを持ちつつ、介護を頑張っているかもしれません。
こんな場合は、家族であってもイライラすることも、優しくできない瞬間があることも、容易に想像できるのではないでしょうか。
良い思い出の積み重ねの場合はどうでしょう。
良い思い出ばかりなら、イライラしたり、優しくできなかったりなんて無いと思いませんか?
しかし
良い思い出が多いからこそ、昔の良い思い出の記憶と、変わってしまった今目の前にいる相手とのギャップを受け入れられず、イライラしてしまうことや、優しくなれなくなってしまうこともあります。
家族だからこそ、そこに期待があり、想いがあります。
期待と想いがあるからこそ、我慢ができないこともあるんです
それは、あなたが冷たいからではありません
ずっと続く介護に、一時的にイライラしたり、優しくなれなかったりする瞬間はあります。
頑張っているからこそ、そんな瞬間はあって当たり前なんです。
むしろ
そこに悩めているあなたが、冷たい人であるわけがありません。
だから
どうかそんな自分を責めないであげてください。
②似た経験のある人に聴いてもらうだけでも楽になる
「人の悩みは聴いてもらうだけで9割解決する」といわれます。
悩んでいたけど、話を聞いてもらったらスッキリした
そんな経験をしたことがある人も、多いのではないでしょうか?
家庭内のことは、人には話しにくいということもあります。
また
家族に対してイライラしたり、不満を持ったりしていることに、否定されるのが怖いという気持ちもあるかもしれません。
ですが
話を聞いてもらうだけで、気持ちが楽になることはあります。
高齢化が進む現在、5人に1人が介護を経験しているというアンケート結果もあります。
つまり
同じ経験をしている人は意外と多いんです。
話してみたら、自分のつらさに共感してもらえる可能性も、思っている以上に高いということです。
悩んだときは信頼できる相手に、話を聞いてもらうことも大切だということを、ぜひ覚えておいてください。
③専門家に相談して解決することもある
少しハードルが高いと感じるかもしれませんが、困った時は専門家の力を借りるのが良いでしょう。
気持ちが落ちているときは、心療内科やカウンセラー
介護のことに悩んでいるのであれば、介護士やケアマネジャー
自分や家族の病気に悩んでいるなら、主治医や看護師
自分にとっては大きな悩みで、解決できないと思っていても、専門家の力を借りたら、解決の道が見えてくることもあります
専門家はその手の悩みを聞きなれているので、多くの経験があります。
いろんな解決への手段を知っています。
専門家は、自分では気づけないことに気づいてくれるかもしれません。
専門家は、自分が知らないこと知っています。
困った時は、少し勇気を出して専門家に相談してみましょう。
6. まとめ
介護は、真面目な人であればあるほど、独りで頑張ります。
家族思いの人であればあるほど、独りで頑張ります。
独りで責任を背負って頑張って、頑張り過ぎて疲れてしまって、イライラしたり、優しくできなくなったりしてしまいます。
繰り返しになりますが、頑張っているあなたが、そんなネガティブな気持ちになることは、「当たり前」だと思ってください。
毎日休みなく頑張って、先の見えないトンネルの中にいれば、誰もがネガティブな気持ちになる瞬間はあります。
そんなときは、優しくなれなくても良いんです。
ただ技術を使って、相手に「優しく感じてもらう」。
それでも良いんです。
優しさを感じてもらえれば、相手の反応が変わります。
相手の反応が変われば、自分の気持ちにも余裕が生まれます。
余裕が生まれれば優しくすることができるから、大丈夫です。
そして
少しでもつらいと感じたら「誰か」を頼りましょう。
自分が頼りやすい「誰か」で良いです。
家族でも友人でも専門家でも、家族のことであっても、独りで悩まず、誰かを頼って良いんです。
介護は独りで頑張るものじゃないということを覚えておいてください。
この記事が、介護をしている人のつらさを、少しでも軽くできたら嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
SoRaでは、介護に困っているご家族へのサポート、大切な人を亡くされた方の心のケア、看護学生向けのオンライン・オフラインでの家庭教師、人間関係に悩んでいる人・仕事での愚痴や不満・日々の不安など生活の中での悩み相談を行っています。
何かお困りごとがありましたら、遠慮なくご相談ください。
⇩各サービスのご予約はこちら⇩
⇩お問い合わせはこちら⇩
コメントいただけると嬉しいです