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人間関係の中で、「共感が大事」というのは、聞いたことがあるのではないでしょうか?
しかし、大事と言われているにもかかわらず、具体的にどういったものが「共感」か?と言われると、説明が難しいと思います。
何が共感なのか分からないと
- 共感してあげたいときに共感してあげられない
- 共感したつもりが、逆に相手を傷つけた結果になってしまった
こんなトラブルも怒ってしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、「共感とは何か」、「共感に必要なもの」について紹介していきます。
1.共感とは想像力
まずは、「共感」について解説していきます。
共感という言葉を調べてみると
“他人の気持ちや感じ方に、自分を同調させる資質や力を意味する。
共感(きょうかん)とは? 意味や使い方 – コトバンク (kotobank.jp)
すなわち、他人の感情や経験を、あたかも自分自身のこととして考え感じ理解し、それと同調したり共有したりするということである。”
とあります。
この共感に必要なことには、どのようなものがあるのでしょうか?
また、共感できない人には、どのような特徴があるのでしょうか?
それぞれ解説していきます。
①共感には「想像力」が不可欠
共感は相手の立場に立って考える・感じることであるため、そこには「想像力」が、絶対に不可欠になります。
相手が今何を考え、どんな状況にあるのか
また、相手が今までどんな経験をしてきたのか、今後どんなことが起こる可能性があるのか
など、多くのことを想像することで、「相手の立場」を、より正確に理解することができます。
逆を言えば、想像力がなければ、その「共感」は、独りよがりになってしまうというわけです。
②共感ができない人の特徴
先に解説しましたが、「想像力のない共感は、独りよがり」です。
つまり、本人は共感しているつもりでも、「共感」とは言えないということです。
共感ができない人というのは、このように「相手の立場を上手く想像できない人」であることが多いでしょう。
例えば、誰かに相談した時に
いや、オレなんて、もっとこんな経験をしてて辛かったんだよ。
それに比べたら、全然大丈夫だよ
というように、自分が相談してたはずなのに、相手の不幸自慢を聞かされるなんて経験をしたことがある…という人もいるでしょう。
これは、自分の経験にだけ意識が向いてしまっていて、相手の経験に対しての想像が足りてないことが原因で起こっていると考えられます。
効果的な共感をするためには、「相手の立場」をたくさんの角度から想像するように意識することが大切です。
今、共感が苦手であっても、意識していけば、徐々に上手に共感ができるようになっていきます。
③相手の立場に立つの本当の意味
共感は、相手の立場に立つことといわれますが、「相手の立場に立つ」というのは、どういうものでしょう?
「相手の立場に立つ」と言われると
もし、自分がこの人の立場だったら、こう考える・こうするだろう…
こういうことを想像するのではないでしょうか?
これは、本当に「相手の立場に立つ」と言えるのでしょうか?
個人的な意見になるかもしれませんが、僕は「ならない」と考えています。
正確には「これでは足りない」ですね。
「自分がこの人の立場だったら…」と考えている時点で、そこで想像しているのは自分です。
その立場に立っているのは、「自分」ということになります。
これでは、「相手の立場」には立てているけど、そこに立っているのは自分であるため、考え方も感じ方も、相手とは違います。
本当の「相手の立場に立つ」というのは、「相手がどんな人なのか」、「どう考え、どう感じる人なのか」、「今までどんな経験をしてきたのか」…。
こういったことまで想像して、「まるで相手になったかのように」「相手になりきって」考えることです。
共感したいと考えた時は、相手になりきって、多くのことを想像していきましょう。
2.共感と相手との関係性について
ここからは、「共感」と「相手の関係性」について紹介していきます。
想像してみてください。
ある日、親友から
あなたは、思いやりのある優しい人だね
と言われました。
その次の日に、別の初対面の人に同じように
あなたは、思いやりのある優しい人ですね
と言われました。
この2つの言葉は、敬語か、敬語ではないかの違いはあるものの、意味は全く同じです。
これを言われて、全く同じように感じますか?
全く同じように、喜びますか?
たぶん、答えはほぼ100%「NO」だと思います。
①関係性が変われば、伝わる意味が変わる
同じ言葉を使っていても、関係性が違うと言葉の伝わり方が変わります。
詳しくはこちらで解説しています。
共感をする場面では、自分と相手の関係性を、客観的に評価する。
そして、その関係性を考慮した「言葉」を選ぶ必要もあります。
近い良い関係であれば、意外と簡単な言葉でも、多くのことが伝わります。
反対に、遠い関係・新たな関係の場合、言葉を尽くしても伝わりにくい。
こういった「関係性」も、共感には大きな影響を与えるということを、覚えておきましょう。
3.「おつらいですね」は共感ではなく、押し付け
誰かから悩みを相談された時に、相手の気持ちを想像して
それはつらかったね
と励ますことってありますよね。
でも、それはもしかしたら、「共感」ではなく、あなたの気持ちを押し付けてしまっている可能性があります。
励ましで言ってるのに、自分の言葉を押し付けてるなんてことあるわけない!!
と、思うかもしれません。
しかし、そう思いたい気持ちは分かりますが、良い人間関係を築いていくためには、こういった「共感」が、自分の気持ちを押し付けて、相手を傷つけるリスクがあるという事実も、知っておく必要があります。
次で、詳しく解説していきます。
① 看護師として教えられる共感への違和感
毎年2月中旬に行われる看護師国家試験。
この中に、「状況設定問題」というものがあります。
「状況設定問題」という名前の通り
「〇歳Aさん、脳梗塞を患っていて、右片麻痺があります…」
というように、細かい状況が設定されて、その状況に対する問題が出されます。
例えば、上の状況に対してに、このような問題が出ます。
Q:この患者に共感的態度で接するために一番ふさわしいものを選べ
- ○○
- △△
- □□
- 「おつらいですね」と共感する
という選択肢が出て、4の『「おつらいですね」と共感する』が、正解とされることがあります。
もちろん、他の選択肢と比べると、4が正解であることは納得できるます。
(正解以外の選択肢が、「それ選ばないよ」って選択肢のことが多いので、正解するのは比較的簡単なことが多いです。)
しかし、この『おつらいですね』が、「共感」であるということが納得できませんでした。
この「おつらいですね」という言葉。
普段の生活の中でも、家族や友人に使うこともあるのではないでしょうか?
「つらかったね…」という言葉かけが悪いわけではありませんが、この言葉には少し違和感があります。
ちょっとイメージしてみてください。
自分が困っているときに、家族や友人に相談をしたとします。
その時に、自分はまだエピソードしか話していないのに
それはつらかったね…
という言葉を掛けられたとします。
でも、ここであなたは、こう思いませんか?
私、つらいとは一言も言ってない
いや、私が感じてるのは「つらさ」じゃなく「悔しさ」なんだけど…
というように…。
そうです。
こういった状況での「つらいですね」という励ましは、相手が言ってもいない感情を、自分が勝手に決めつけて、それを押し付けてしまっているかもしれないんです。
こういった場合
あなたに分かるわけない!
知ったふうなこと言わないで!
というように、励ましたのにもかかわらず、相手を傷つけてしまうことがあるんです。
4.心理学の効果を使った傾聴は相手を傷つける!?
励ましの言葉も、相手の思いを勝手に想像して押し付けてしまい、傷つけることがあると解説しました。
この場合以外にも、心理学を使ったテクニックでも相手を傷つける場合があるというのも、知っておく必要があります。
情報化社会である現代では、いろんな情報が手軽に手に入ります。
人間関係に使える心理学も、簡単に知ることができ、より良い人間関係を築くうえで、とても便利です。
しかし、心理学のテクニックは、「使えば良い」というわけではありません。
使うことのデメリットについても、しっかりと理解した上で使っていくことが、「より良い人間関係」を築いていくうえで必要な、本当の意味での知識・テクニックになります。
①オウム返しやミラーリングなどの、心理学を使ったテクニックのデメリット
良い人間関係を築くうえでも、医療介護にも重要な技術に「傾聴」というものがあります。
「傾聴」とは、人のいうことを肯定的に捉え、耳も心も相手に向けて、相手の話を聴く技術のことをいいます。
看護や介護の世界でも「傾聴した」、「傾聴をしなさい」とよく使われます。
その傾聴をするためのテクニックとして、オウム返しやミラーリングと呼ばれる技術があります。
オウム返しは、相手が
私、悔しいんです。
と言ったら
悔しいですよね。
というように、相手が言った言葉を、そのまま返すテクニックです。
ミラーリングとは、簡単に言うと相手の真似をすることです。
- 相手が水を飲んだのと同じタイミングで、自分も水を飲む。
- 髪を触る癖がある人と話す時、自分も髪を触る。
というようなものです。
意識をしていなくても、仲の良い人と話していると、同じ仕草を自然としていて、驚いた経験があるのではないでしょうか。
このようなテクニックを使うことのメリットは、使わない時と比べて、関係性を早く築くことができるということです。
しかし、反対にデメリットも存在します。
テクニックのデメリットいうよりかは、失敗した時・上手くいかなかった時のデメリットという方が近いですね。
テクニックとして使ってるのが相手に伝わってしまうと、不快感と不信感を与えてしまい、関係性を悪化させるリスクがあるのが、こういったテクニック全般に共通するデメリットです。
②テクニックとして使おうとすることは、相手を支配するということ
テクニックとして使っているのが相手に伝わると、相手は「自分を支配しようとしている」と感じます。
そのため、不快感や不信感を抱いてしまうんですね。
ここで大事なことは、こういった心理学を使ったテクニックは関係性を築くための、単なる1つツールであり、使うことで「相手を支配すること」が一番の目的ではないということです。
使うことや、自分の思い通りに相手をコントロールしようとすると、相手には「支配をしたがっている」という考えが伝わってしまいます。
自分がテクニックを使うときの目的を、しっかり持つことと、こういった失敗の時のデメリットを自覚することが大事になるので、忘れないようにしていきたいですね(自戒を込めて)
5.まとめ
医療・介護従事者の場合、「共感」という言葉はよく使いますが、一般的にはあまり馴染みのない言葉かもしれません。
しかし、言葉は使わなくても、共感をしている場面や、共感してあげたいと思う場面は、日常多く存在します。
人は、悩んでいるときに、共感をしてもらえるだけでも心が救われることがあります。
より効果的な共感を、意識的に使えるようになり、患者さんや利用者さん、大切な誰かの心を癒せるようになるために、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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