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実習を寝不足に陥れる記録物「SOAP」。
計画立案後、毎日書かなければならず、#問題点・計画したケアの数だけ、SOAPを書かなければなりません。
計画立案後、毎日書くということは、計画立案が実習開始3日目くらいだったとしても、残りの8割以上の日数を「苦手なSOAP」と戦っていかなければなりません。
実習の8割がつらいなんて、地獄過ぎる…
別の記事で「アセスメント」のポイントを書きましたが
アセスメントが苦手
という人は、SOAPも苦手な人がほとんどだと思います。
アセスメントのポイントも知りたいというという方は、こちらも合わせて読んでみてください
実習の8割に関わってくるSOAPが、少しでも楽になれば、実習自体が、かなり楽になるはずです。
ということで、今回は、「SOAP」を書くためのポイントを紹介します。
- SOAPが苦手
- どう書いたらいいのか、よく分からない
- Oデータとアセスメントがゴチャゴチャになる
- SOAPが大変で寝不足
こんな悩みや困ったことがある人は、読んでみてください。
SOAPとは
SOAPとは、得た情報をS(主観的情報)、O(客観的情報)、A(アセスメント)、P(プラン・方針)に分けて考え、記録する方法です。
看護記録をSOAPで書くメリットには
- 情報のわかりやすさ
- どのようにその考え・結論に至ったか、思考のプロセスが伝わりやすい
などがあります。
記録の手法は他にもありますが、一般的にはSOAPを使用している病院がほとんどです。
SOAPの書き方で大切な3つのポイント
実習では、患者さん全体のアセスメント(ヘンダーソンの14項目)をして、計画立案していきます。
この患者さんのアセスメントですが、計画立案以降は、SOAPがあるため、教員に見られる機会が減っていきます。※先生によっては、「ちゃんと元のアセスメントを修正しているか」までチェックしてくれる先生もいると思います
その代わりに、このSOAPがしっかり見られて、赤字で修正(添削)がたくさん書かれて返って来ることが多いでしょう。
昨日のSOAPを修正しないといけないけど、今日のSOAPも書かないと…
というように、時間に追われてしまうことが多いのではないでしょうか?
SOAPを書くときは、次の3つのポイントを意識してみてください!
ポイント
①情報を重複させない
②S・O・A・Pの役割を理解する
③知らない人が読んでも分かるように書く
それぞれのポイントを、詳しく説明していきます。
①SOAPの中で情報を重複させない
Oデータの中に「○○という発言があった」と、Sデータが入っている。
Oデータに書いていない情報が、アセスメント(A)に入っている。
SOAPの添削をしていると、S・O・A・Pがちゃんと分けられておらず、ごちゃ混ぜになってしまっていることがあります。
また、Oデータに書いてある情報が、アセスメントの中にも書かれていてというように、情報が重複してしまうことも多いです。
よくあるSOAPの失敗例1:Oデータに書いたものがアセスメントの中にも書かれていている
例えば
O | 左上下肢MMT3、右上下肢MMT5、杖歩行 |
A | 患者は左上下肢のMMT3、右上下肢のMMT5で杖歩行をしているため、左の筋力低下があると考えられる |
上の図1のように、Oデータに
「左上下肢MMT3、右上下肢MMT5、杖歩行」
と書いてあったとします。
それなのに、アセスメントにも
「患者は、左上下肢のMMT3、右上下肢のMMT5で杖歩行をしているため、左の筋力低下があり、転倒リスクが高いと考えられる。」
というように、書かれていることがあります。
オレンジでマーキングしている部分は、全く同じ文章が重複していますよね?
これでは、Oデータを文章化しただけなので、アセスメントにはなっていないんです!
アセスメントは、言っていた情報(Sデータ)や、客観的に見た情報(Oデータ)から
- 「どんな問題が考えられるのか」
- 「どんなケアが必要か」
- どんなリスクがあるか(考えられるか)
などを書いていくものです。
そのため、上の例で言うなら、「左の筋力低下があると考えられる」の部分に、「どんなケアが必要か」「どんなリスクがあるか」など、自分がどう考えているかを書いかなければなりません。
この場合であれば
「(Oデータより)左の筋力低下があるため、移動時に、転倒・転落のリスクが高いと考えられる。そのため、歩行が安定するまでは、移動時にはN/Cをするように伝え、見守りをしていく。」
このように、Oデータに書いてある情報を使用して、そこから考えられる問題や必要なケアまでを書いていきます。
Oデータには「左上下肢のMMT3、右上下肢のMMT5、杖歩行」と、すでに記載しているため、アセスメントに同じことは書かなくて大丈夫です。
ただし、どの情報からアセスメントをしたのか分かるように、「左下肢の筋力低下」程度に簡単にまとめて記載して、アセスメントを書いていきましょう。
よくあるSOAPの失敗例2:プランの中にアセスメントが書かれていている
プラン(P)にアセスメントが入り込んでしまうというパターンもあります。
O | 左上下肢MMT3、右上下肢MMT5、杖歩行 |
A | 脳梗塞により左上下肢の筋力低下があり、転倒リスクが高いと考えられる。 |
P | 左上下肢の筋力低下があることで、左への転倒するリスクが高いため、歩行介助をするときは左側に立ち介助をする。 |
図2のように、アセスメントが「転倒リスクが高い」で終わっていて、プランに「左上下肢の筋力低下があることで、左への転倒するリスクが高いため、歩行介助をするときは左側に立ち介助をする」
と書かれていたとします。
これだと、「 左上下肢の筋力低下があることで、左への転倒するリスクが高い 」という、「(ケアをする)理由」=「アセスメント」までプランに含まれています。
自分の考えは全てアセスメントに入れ、プランは簡潔に書くようにしましょう。
O | 左上下肢MMT3、右上下肢MMT5、杖歩行 |
A | 脳梗塞により左上下肢の筋力低下があることで、左へのバランスが崩れて転倒するリスクが高い。そのため、歩行介助をするときは左側に立ち介助をする必要がある。 |
P | T-P歩行介助に「歩行時は左側に立ち見守りをする」を追加する。 |
図3のように、A:「 左上下肢の筋力低下があることで、左へのバランスが崩れて転倒するリスクが高いため、歩行介助をするときは左側に立ち介助をする必要がある 」といように、理由の部分はアセスメントに加えます。
そして、P:『 T-P歩行介助に「歩行時は左側に立つ」を追加。』というように、プランはどこにどのようにプランを追加・修正したか簡潔に書きます。
このように、「プランはシンプルに書く」と決めると、プランにアセスメントが混ざることがなくなります。
② SOAPの考え方を理解するために記録を「料理のレシピ」と考えてみる
「SOAPは料理のレシピみたいなもの」と考えてみてください。
ははっwww
ちょっと、何言ってるか分からない
と思ったかもしれませんが、とりあえず最後まで読んでみてください。
※料理のレシピを見たことないという方は、ネットで検索するとたくさん見れますので、この先を読む前にチラっと見てきてください。
料理のレシピは
「料理名」
「材料(場合によっては使用する物品など)」
「手順」
という感じに分かれています。
ネットのレシピの場合は
「作ってみたレビュー・評価」
※「作ってみたレビュー・評価」は、下で説明しますが「アセスメント」と「プラン」に当たります。
というのもあります。
SOAPも同じで
「看護問題」
「S・Oデータ」
「アセスメント(A)」
「プラン(P)」
※レシピの「料理名」、「材料」、「手順」、「作ってみたレビュー・評価」に色を合わせてあります
に分かれています。
これを念頭に置いて、この章は読み進めていってください。
◆SOAPのSデータ・Oデータはアセスメントの材料
S・Oデータはアセスメントするための材料です。
レシピの材料の中に、ジャガイモ200gと書いてあるのに、手順では
といったように、「ジャガイモを用意する手順」までは書いてないですよね?
「(用意しておいた)ジャガイモを」くらいに、簡単に書いてあると思います。
これは、材料に書いてある時点で、200gに測ったジャガイモを用意していることが前提だからです。
これと同じように、材料となるS・Oデータは、基本的にアセスメントには書かきません。
もし、書くとしても簡単に書くことで、情報が重複しないように注意しましょう。
Sデータは、本人が言ったことを書きます。
これは簡単ですね。
※話せない人(例えば、失語がある人や認知症があり会話が困難な人など)は、「該当なし」と書けばいいと言う人もいますが、個人的には「該当なし」は適切ではないと考えています。
該当なしでは、「話しかけたけど、反応がなかった」のか「話しかけもしなかったのか」全く分かりません。
問いかけに対して無言で合ったら、本人が言ったことではなくても、それが分かるようにSデータに「(問いかけに)……」や、Oデータ「問いかけたが反応なし」と、分かるように記しましょう。
Oデータは、自分が五感で感じたことを客観的に書く。もしくは、採血データやレントゲン、VSや尿量などの客観的データを書きます。
五感で感じたこととは、例えば、尿臭が強い(嗅覚)、腕が湿潤している(触覚)、移乗後に肩呼吸をしていた(視覚)、右肺上葉からいびき音(rhonchi)が聴かれた(聴覚)などです。
◆SOAPのアセスメントは作る手順と作った感想
繰り返しになりますが、重要なことなのでおさらいします。
アセスメントは、材料となるS・Oデータを使って
「実施したケアがどうだったのか」
「患者さんの状態がどうだったのか」
など、自分が何を考えているのかを書いていくものです。
レシピのレビューでは、「おいしかった」、「手順の中で○○の部分が分かりにくかった」などの、「レシピや作った料理の感想」や、「☆5つの内の☆4」のような、パッと見てすぐに分かる評価が載せられていると思います。
SOAPでも
「今日、自分が実施したケアがどうだったのか」
「続けていく必要があるケアなのか」
「ケアの方法は適切だったのか(本人に合っていたのか)」
など、自分が行ったケアに対する感想やレビューが必要で、それに当たるのがアセスメントとプランです。
ケアの必要性や妥当性を伝えるには、「理由」が必要になります。
いわゆる
根拠は?
ってやつですねwww
この根拠…、つまり「理由」の部分が、アセスメントになります。
◆SOAPのプランはレビューと評価
そして、先に伝えたようにプランは簡潔に書くので、レシピで言えば「☆5つの内の☆4」のような、パッと見てすぐにわかる評価が、プランに該当するというイメージです。
例えば、食事摂取のケアであれば
A | 元々、一回の摂取量が多かったため、ティースプーンを使用し一回の摂取で口に含む量を調整することで、誤嚥なく食事ができたと考えられる。次回の食事からは、大きいスプーンは使用せずに、ティースプーンを用意し、摂取状況を引き続き観察していく。 |
P | T-Pにティスプーンを用意するを追加する。E-Pに「たくさん含むとむせるから小さいスプーンを使います」と説明するを追加する 。 |
このように書くと、ケアを実施した看護師が「ケアが有効であった理由」を、どのように考えている(アセスメントした)のかが分かります。
また、どんなプランを、どこに追加したのかも、簡潔で分かりやすくなります。
ここまでのことを含めて、SOAPの各項目に、どんなことを書けばいいのかを、簡単にまとめてみました。
問題名 #○○に示される△△/○○に関連した△△など
S | 患者さんが言ったことを箇条書きにする |
O | 自分が五感(視覚・嗅覚・聴覚・触覚)で感じ取った「事実」や、検査などのデータを箇条書きにする |
A | 上の2つのデータから実施したケアが有効もしくは無効と考えた理由や、ケアの必要性・妥当性があるのかないのかなどを書く 患者さんの状態をアセスメントする場合も同様に、なぜそういう状態だと判断したのかという「理由」を書く |
P | 新しく立てた計画内容や内容の追加・修正を箇条書きにする |
良かったら、この表も参考にしてみてください。
③ SOAPを書く目的は誰がやっても同じようにケアしてもらうため
提出してもらったSOAPを読んでいると、「食事介助を実施し、誤嚥はなかった。」など、事実のみを書いて終わってしまい、自分の行ったケアの評価をするためのアセスメントが抜けていることが多いです。
「食事介助を実施し、誤嚥はなかった。」
この文章だと、誤嚥がなかったのは偶然なのか、それとも患者さんに合ったケアができていた結果なのかが伝わりません。
もし、このケアが有効だったから、誤嚥しなかったのであれば、どの点が患者さんに合っていたから
有効に誤嚥なく摂取できたのかを説明しなければなりません。
そこが抜けてしまうと、このケアを継続していくことが出来なくなってしまいます。
この「ケアの継続をしていく」というが、SOAPを書く一番の目的です。
◆看護記録は知らない人が読んでも分かるように書く
前の章で例に挙げた「料理のレシピ」もそうですが、何かを説明するものって、かなり細かく説明が書いてあります。
でも、小学生のころ、折り紙にはまっていた時があったんですが、折り紙の説明書で、次の折り方の説明があまりに簡潔すぎて(若干工程が飛ばされていて)、全く折り方が分からず、途中で断念したことがありました。
折れなかったことがすごく悔しかったので
今でも覚えてる…
こういった説明書って、「誰が読んでも伝わるもの」じゃなきゃいけないですよね?
だから、かなり細かく説明が書いてあるんですね!
SOAPも同じで、「誰が読んでも分かる内容」でなければなりません。
入院患者さんのいる病院は、24時間365日稼働し続けています。
その24時間365日を、同じ看護師が、ずっと看護し続けることは不可能です。
そこには必ず「引き継ぎ」が発生します。
あり得ない話ではありますが、仮に自分が立てたケアが、100%患者さんに合っているもので、何の修正も必要がない計画であったとします。
でも、それが、次の人に伝わらないのであれば、なんの意味がありません!
例えば、「離床が必要」とアセスメントして、「毎日離床をする」という計画を立てたとします。
アセスメントとプランはこんな感じでしょうか。
「A:筋力低下を防ぐために離床が必要である。P:毎日離床する。」
では…、この文章を読んだだけで、同じ「離床」が継続できるでしょうか?
読む人によっては
「車いすに乗る」離床をするかもしれない
「外に気分転換を兼ねて散歩をする」かもしれない
同じ「散歩」にしても、その辺りをぐるっと一周の人もいれば、外まで行く人もいるかもしれない。
時間や距離も、人によって捉え方が変わりますよね?
このように、具体性が低ければ低いほど、個々の価値観や考え方で、行うケアが曖昧になってしまいます。
つまりそれは、効果的なケアを継続することが、難しくなるということを意味します。
ポイント
SOAPは「その患者さんのことを、知らない人が読んでも分かるように」細かく書いていく。
※基本、患者情報を全く知らずに受け持つことはないので、ここで言う「知らない人」というのは、「自分が受け持った時間の中の出来事」という意味で捉えてもらえたらと思います。
まとめ
SOAPが楽になるポイント
・情報の重複を避ける
・S・O・Pは簡潔に箇条書き!Aは文章で書く!
・Sは患者さんの言ったことを書く
・Oは自分の五感で感じ取ったものや検査データなどを箇条書きで!
・SとOは、アセスメントの「材料」
・Aは、ケアの必要性や妥当性、患者の状態や今後の状態変化を判断した「理由」を書く
・Pは、新しく立てた計画の内容や計画の追加・修正を簡単に書く
・知らない人にも伝わるように細かい所まで書く
これで今回の、「SOAP編」は終了となります。
いかがだったでしょうか?
実習で共通する大事なことは「あなたの考え」です。
あなたがどう考えて、そのケアをしようと思ったのか
この実習からどんな学びがあったと考えているのか
など、「あなたの考え」を問われています。
今回のSOAPは、患者さんのことをのように「あなたが考えているか」が大切です。
そして、その「考え」を伝える手段、手紙のようなものが「SOAP」です。
自分が居ない時に、同じように患者さんをケアしてもらうために、ケアをする人宛てに、自分の考えを手紙に書く。
SOAPとはこういったものだと思ってください。
そして、読む人に分かりやすくするために簡単に書く。
これが分かるだけでも、SOAPへの苦手意識は、少し軽くなるかもしれません。
今回のこの記事が、少しでも役に立つものになれば幸いです。
もっと、こんなことを知りたい
ここを詳しく書いてほしい
などの要望がありましたら、コメントいただけると嬉しいです。
実習がつらい、記録が苦手という方のために、「事前学習の仕方」から「上手な振り返りの発表の仕方」までの、ポイントを書いているので、良かったら参考にしてみてください
ポチっと応援よろしくお願いします
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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