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昨年、非常勤講師として、看護学生の実習指導の教員をする機会を得ました。
今まで
実習つらい!
行きたくない!
二度と学生には戻りたくない!
こんな言葉を、たくさん聞いてきました。
だから、自分が関わる学生さんには、少しでも
実習って楽しい
思ったよりつらくない
こんなふうに思ってもらいたい。
そして、現場に出てからはできない「実習だからこそできる看護を体験してもらいたい!!」。
そういう気持ちで学生さんに関わってきました。
そのおかげか、学生さん達からは
「全領域、先生についてきて欲しい」
「先生居ると、病棟で先生見ると安心する」
「先生のおかげで、みんなモチベーション爆上がりです!」
なんて嬉しい声を貰えました。
自分の関りで学生さん達が
・こんなにも楽な気持ちで実習に臨めるのか
・こんなにも笑顔で実習を終わってくれるのか
そう考えた時、せっかくブログを書いているなら、直接関わることのできない学生さん達にも、実習が楽になる情報を伝えていこう!と思いました。
そこで今回は、実習で自信を無くした学生さん達に、僕が掛けてきた実際の励ましの言葉を紹介していきます。
(励ますっていうと少し語弊があるかもですね、気持ちを上げる嘘ではなく、本心から思っている事なので)
今、これを読みながら
「実習がつらい」
「明日行きたくない」
って思ってる学生さん。
僕が担当した学生さんの中にも、今のあなたに似た人、似たことに悩んでいた人が、必ずいたと僕は思っています。
だから、この言葉は「今これを読んでいるあなたにも本気で思っていること」です。
自分が言われていると思って、これを読んで
気持ちがあがる⤴
明日頑張れる⤴
って思ってもらえたら嬉しいです。
1.「ダメな計画」なんてない
自分が「その人に必要」と思って考えてきた計画、『ダメ』なんてことはないよ
これは、学生さんが立ててきた計画を見た時に伝えた言葉です
すごく自信なさそうにしていた学生さんに対して
「うん!じゃあ、どうすればこの計画を、この患者さんにしてあげられるか考えてみよう!」
と伝えると、とてもビックリしていました。
今までは考えてきた計画は、ダメ出しが多く
自分の計画はダメなんだ
と思っていたそうです。
そこに『どうやったらできるか』と聞かれて、否定されなかったことに驚いたんだそうです。
その患者さんに対して、一生懸命考えてきた計画がダメなんてことはないと思っています。
優先順位を考えた時に、『計画してきたケアが一番優先的に行うことではない』という事はあるかもしれません。
でも、一番ではないからといって、そのケアが「やらなくてケア」というわけじゃない。
優先順位が高いケアもやりつつ、考えてきてくれたケアもやってあげればいいと僕は思っています。
その患者さんを想い、考えてきたケアはダメではない。
大切なのは優先順位を考えることと、そのケアの優先度が低かったとしても「必要」と思うなら、どうすればできるのかを考えていくことです。
2.あなたが隣にいてくれたから『こそ』言えた気持ち
他の職員さんに伝えられなかった気持ちを、○○さんがいてくれたから言えることが出来たんだよ
※○○さんは学生さんの名前です
これは、コミュニケーションに自信が持てなかった学生さんに伝えた言葉です。
この学生さんは、「他の人には笑顔でたくさん話すのに、自分にはあまり笑顔で話してくれない」と、受け持ちの患者さんとのコミュニケーションに、すごく自信を無くしていました。
でもある日、その患者さんは学生さんに耳打ちをして、「あの人(病棟の職員さん)ちょっと嫌なんだよね…」と小声で言ってきたそうです。
その患者さんは、「嫌だ」と言っていた職員に対して笑顔で話をしていました。
そして、その職員が部屋を出ると、表情が乏しくなり、さっきの言葉を学生に伝えてきました。
直前まで笑顔で話していたのに、その職員に対して「嫌だ」と感じていたことに、学生さんはビックリしたそうです。
この患者さんは、ほかの時も看護師や看護助手が部屋に入ってきたときは笑顔だけど、部屋を出ると一気に表情が無表情になり、学生さんといる時も無表情のことの方が多かったようです。
- 笑顔を見せてくれない自分に対して、なぜ話してくれたのか
- なぜ自分がいる時は、あまり笑顔を見せてくれないのか
「この患者さんの気持ちが分からない」「自分は嫌われているんじゃないか」と、カンファレンスの中で議題として挙げてくれました。
この話を学生さんから聞いて僕が感じたことは
・本当は元々あまり話をしない人で、他の職員さんたちの前では気を使って話してるのではないか
・学生さんの前だと、心を許してるから『話さないでいられる』のではないか
・心を開いてるから愚痴も言えるのではないか
これを本人に伝えると、次の日から自信を持って患者さんと話に行けるようになりました。
そして、患者さんが、どんどん本音で話してくれるようになったようです。
一生懸命やってくれる姿
毎日、隣で話を聞いてくれること
そんな小さなことの積み重ねが、患者さんにとっては大きなことで、それが信頼関係を作っていたんだと思います。
学生が隣にいてくれるから、伝えられる言葉があると思います。
隣で一生懸命、自分と向き合ってるからこそ、伝えたいと思えることがあると思います。
みなさんも、そういう関係を築けている自分に、もっと自信を持ってください。
3.黙って隣にいることも時には看護になる
何も言えなくても、何もできないって自分で思っていても
隣に一緒にいて、同じ時間を共有してくれたことだけでも十分『その人の為の看護』だよ
これは何度か、いろんな学生さんに伝えた言葉です。
実習中に
- 認知症を患っていてあまり会話ができない
- 終末期の患者さんでなんて声を掛けてあげたらいいか分からない
こういうことに悩んでいる学生さんが、とても多いです。
学生さんたちは実習で、毎日ベッドサイドに行き、血圧や体温を測ったり、痛いであろう箇所をさすったり、手を触れながらベッドサイドにただ座っていたり…
いろんな形で「同じ時間を共有」しています。
患者さんたちは
「何かをしてくれるから」嬉しい
「何かしてくれること」がケア
と思っているわけではないんです。
認知症で、自分の想いを話すことが出来ない患者さんの隣にいてくれること
終末期で、毎日不安を感じている患者さんの隣にいてあげること
言葉がなくても「安心」は伝えられていると思います。
何かを話すことが正解とは限りません。
一緒にいるだけでも、良い看護が出来ていることも沢山あるということを、覚えていて欲しいです。
4.足りなかったとしても、今の自分に出来ることが出来ていれば良い
足りないところがあって当然。
だから今、学校に来て学んでるんだよ。
たとえ、足りなかったとしても、「今、自分で出来ること」がちゃんとできてるから大丈夫!
これは、「自分は全然できてない」と、自分のことを過少評価してしまっていた学生さんに伝えた言葉です。
正直、学生なんだから、出来ていない所がたくさんあって当たり前です。
そこを学ぶために学校があるし、簡単にできるような仕事じゃないから、『資格』が必要なんです。
そして、仮に「今、出来ていないこと」がたくさんあったとしても、「今、患者さんにできること」を自分なりに一生懸命考えて、自分の最大限のできることを実践しているはずです。
それなら、自信を無くす必要も、「自分はできていない」と評価する必要も全くないと思いませんか?
自分が患者さんなら、自分に対してできることを一生懸命考えて、やろうとしてくれるって、とても嬉しいことだと思います。
自分の知識や技術が足りてようが足りていまいが、今日も患者さんのために、今、出来る事をしているのなら、それで充分です。
そのまま続けていれば、知識と技術は、あとからちゃんと付いてきます。
5.失敗を悲しんだり悔しがったりできているなら、次は大丈夫
大丈夫。失敗したことを『ごめんなさい』『悔しい』って思えてるなら、それはもう絶対忘れないから。
忘れないから、次が気を付けられるようになるんだよ。
これは、看護技術を指導してもらいながらやったけど、上手くできなかった学生さんに対して伝えた言葉です。
失敗してしまったということは、「事前の学習の不足・事前の準備不足」はあったかもしれません。
でも、僕もそうですが、「初めてやった事が、初めから上手くいく」なんてことは稀ですよね?
どんなに準備しても、失敗してしまうときは失敗してしまいます。
ここで大事なのが、その失敗に「何か感じるか」です。
何か感じるということは、感情が動いたということです。
記憶は、感情と結びつきが強いです。
感情が動くというのは、次に同じ場面に出くわした時、ちゃんとそれを思い出せるということです。
看護師をしていると、『助けてあげられなかった』という瞬間が訪れます。
そこに後悔や悔しさがあると、次に繋げることが出来ます。
次に繋げられるということは、その人の「最期」に意味を作ってあげられることでもあると思います。
感情が動いているということは、ちゃんと次に繋げられるということだから、「このまま何度も失敗してしまかもしれない」と臆病にならなくて大丈夫です。
6.最後に
この言葉がどれくらい
今、読んでくれているあなたにフィットしていて
どれくらいの勇気を与えてあげられるかは
分かりませんが
これを読んで
少しでも明日頑張る勇気が出た
あの時の頑張りが報われた
と思ってもらえたら嬉しいです
以前
「実習が楽になる方法」
として
各記録や情報収集
苦手な看護師への報告の仕方など
まとめたものもあるので
実習が辛いと思っている方は
よかったら
そちらも合わせて
見てみてください
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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