看護学生がつらい病院実習を楽に乗り越えるため実習を楽にする情報収集の4つのポイント

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実習が不安、記録が書けない…と悩んでいる方に

今の日本で問題として挙げられる「高齢化社会」

高齢化が進むことで、入院している方も必然的に高齢化しています。

成人期の実習であっても、老年期の患者さんを受け持つことが多く

既往や、内服がたくさんあって大変…

なんてことや

治療経過が長すぎてどこから情報を取っていけば良いか分からない

…というように、困ることってありますよね?

授業の中では、アセスメントに必要な情報は、すでに書かれている状態で、看護過程をやってきていますよね。

自分で情報収集することに慣れてないから、収集する情報量が少なかったとしても、情報収集が難しい・苦手と感じてしまうのでしょう。

また、電子カルテだったり、紙カルテだったりと、情報収集の仕方が実習先によって変わるため、それも情報収集を難しくしている要因の1つでしょう。

学校では教えてくれないけど、実習では当たり前のようにやらなければならない「情報収集」

電子カルテであっても、紙カルテであっても、関係なく情報収集が上手くなるポイントをまとめました。

  • 情報が上手く取れない
  • 情報収集どうやったらいいのか分からない

という方は、参考にしてみてください。

目次

1.実習の情報収集のポイント

時間の限られている実習で、効率よく情報収集をするポイントは、次の4つです

①患者さんのストーリーを知る
②カルテは「全部」読まない
③目的を持った情報収集
④患者さんをイメージする

それぞれ、1つずつ説明していきます。

①患者さんのストーリーを知る

積まれた漫画本、読みかけのマンガのイラスト

僕は、本を読んだり、漫画を読んだりするのが好きです。
あなたは、本や漫画を読みますか?

例えば、新しい漫画を読み始めるとき——

あなたは「1巻の最初のページ」から読み始めますよね?

新しい本や漫画を読み始める時に

「いつも5巻から読みます(・∀・)/」

という人は、あまりいないと思います。

もし仮に
「5巻を読んで…、読んでる途中で10巻に変えて…、やっぱり1巻から読んでみて…」
なんてことをしたら、全然ストーリーが頭に入ってきませんよね?

当たり前ですが、物語は「最初から読む」から、ストーリーの流れが分かるし、そのストーリーを覚えられるんですよね。

「最初」を読むから、この物語がどんな物語で、どんな人が主人公なのかを、しっかり理解する事ができるんです。

つまり、患者さんの物語(今まで生きてきた歴史)にあたる

入院のきっかけ(入院までの経過)
②入院した時~入院後にどういう治療を開始したか(時系列で追う)
③治療を開始から今に至るまでの、心と身体の変化

    この3つが、情報収集をする際に、とても大切になってきます。

    ここを知ることができると、受け持ち患者さんの「入院」というストーリーが、イメージし易くなります。

    カルテは「全部」読まない

    学生さんが、情報収集をしているのを見ていると、本当にカルテの端から端までチェックしている人がいます。

    すごくまじめだなと思いますが、さすがに1~2週間で終わってしまう実習で、情報収集に充てられるのは、長くて最初の2日間。
    周手術期ならともかく、慢性期なんて入院経過が長すぎて全部見るのは無理です。

    それはベテランの看護師も同様に、全部見るのは無理です。

    では、どうしたらいいのか。

    それは

    • 無理なものは潔く「諦める」
    • 情報の優先度を考える
    • 優先度に応じて、力配分・時間配分をする

    以上の3つを意識することです。

    1)情報を全部取るなんて無理! 無理なものは潔く「諦める」

    例えば
    1年ほど入院をしている患者さんを受け持ったとします。

    「入院のきっかけ」から「治療開始して軽快していくまで」の記録を見終わっても——

    まだ11か月分もある
    情報が多すぎてムリ…

    って、心折れますよね?

    実習期間って限られているし、そんな短い時間の中で膨大な量の情報を全部読むなんて無理です。

    無理なんだから、初めから全部読もうとしなくていいんです。

    2)情報の優先度を考える

    いや、全部読まなくていいなんて、そんな無責任な!
    じゃあ、どう12ヶ月分の情報収集をしたら良いの?

    という疑問が出るでしょう。

    どうしたら良いのか——
    それは、「情報の中から優先度の高いものを探す」です。

    例えば、さっきの1年間入院している患者さん(Aさん)が、「入院直後の治療経過が順調だった場合」
    (再発・急変など特別な出来事があった場合は別です)
    入院2か月目の情報よりも、ここ最近の1か月くらい(入院12か月目)の情報の方が、「今、自分がこの患者さんに看護をするため」の情報としては優先度が高くなります。

    なので、最新の情報、このAさんであれば、ここ1か月くらいの情報をまずは取っていきます。

    ここ1か月くらいで、何も変化がなければ、もう1か月くらい前まで…というように、時間をさかのぼって私は見ていきますね。

    その中で、何か問題があれば、Aさんにとっての「直近の問題」を見つけることができる——、というわけですね。
    (例えば、長期に入院をすることで運動量が落ち、筋力低下や腸への刺激の低下・食事摂取量の低下から「便秘を繰り返している」など)

    3)優先度に応じて情報収集する力分配・時間配分をする

    入院直後から治療開始の情報を取って…
    ここ1か月くらいの最近の情報を取って…

    あれ…結局ほとんど全部情報取ってない?

    結局、全部の情報が大事なんじゃん!

    って、思いましたよね?

    まあ、その通りで——
    基本、全部の情報が大事です。

    それはそうなんです。
    積み上げてきた情報が大事ではないわけがない。

    でも、短時間で全部の情報を取るなんて不可能

    だから、そのために優先度を考えていく必要があるんです。

    そして、その優先度を「どの程度の力の割合で情報収集するか?」を決めることが大切なんです。


    まずは患者さんの情報を時系列で見ていくのに使う力を100として考えてみる。

    そして、その「100」を優先度に合わせて力配分をして情報を収集していくということです
    (力の分配を「情報収集に20分使えるからカルテ全部を見ることを20として、入院時の情報を5分…」というように、時間配分と考えてもらっても良いです)

    例えば、さっきの「1年間入院しているAさん」の場合で考えてみます

    優先度を考えて
    入院時から1か月以内40%
    途中10か月くらい5%
    最近の1か月を55%

    といった感じに振り分けてみます。

    最初をしっかり読んでいき(40%)

    途中はサーっと(5%)読みつつも
    ・「肺炎になりました」
    ・「カンファレンスで自宅に帰る方針決定!施設を探すことになりました。」
     「施設はまだ決まっていません。」
    など、何か変化があった所は、その前後の情報を少し多めに収集する
    (5%…だけど上記のようにイベントがあれば、力の配分を微調整)

    最近の情報(1か月くらい)から、しっかりと読み込む(55%)

    というように、力配分・時間配分をすると、効率の良い情報収集ができます。
    ※成人の急性期などで入院の経過が短い患者さんなら端から情報を取っても、あまり時間はかからないので、全部の情報を取るのもアリ!

    ちなみに、私は

    最初の入院時の情報と既往歴や生活歴などのデータベースをサッと読む(15%)

    最近の情報(1か月くらい)の検温表、検査データ、日々の医師記録・看護記録しっかり読み込む(80%)

    途中経過をサーっと読む(5%)

    という力配分で見ています。
    慣れてくれば、こんな感じで見れるようになっていきますよ。

    ちなみに、②の中で見る「医師記録」と「看護記録」ですが

    医師記録からは「病状と治療の経過」
    看護記録からは「普段の様子やADL・認知度」

    などを読み取ることができる記録です。
    ※ADLや認知度は、「リハビリの記録」があれば、そこでも分かります。
     経済状況やご家族のことは「MSWの記録やカンファレンスの記録」から収集することも可能です。

    ②「最近の情報を収集する」中では、
    1.まずは「医師記録」をポイントを踏まえて情報収集
    2.次に「看護記録」で、その人がどんな人なのかどんな入院生活を送っているのかを知っていく
    3.その後に細かい部分※1(食事内容や検査データなど)の情報収集をする
     ※1ここは次の章で詳しく説明します

    こんな順番で最近の情報を収集していくと、全体像をつかみながら、「患者さんが今抱えている問題点」が見えてきやすくなるので、オススメです。

    ③「目的」を持った情報収集をする

    次に、前章で最後に登場した「細かい部分」の情報収集の方法を紹介します。

    「細かい部分」とは「なんの情報を収集するか」という情報収集の「目的」を明確にしていくことが大切になります

    この「細かい部分」というのは、患者さん1人1人によって違います。
    また、同じ患者さんであっても、今の状態によっても違います。

    なので、「何を」、「どの順番で」ということを型にはめることができません。

    例えば

    入院時の肺炎の状態は回復したけど、栄養状態が良くないって担当看護師さん言ってたな。
    じゃあ、患者さんの栄養状態は以前と比べてどうなっているんだろう?

    と疑問に思ったら

    食事摂取量、体重、検査データ(アルブミン、トータルプロテイン)などが、どう経過(変化)をしているかを情報収集していきます。

    この人は、今まで家でどんな生活を送っていたんだろう?

    と疑問に思ったら

    家族構成、カンファレンス、MSW(メディカルソーシャルワーカー)の記録、などを中心に情報を取っていく。

    …というように、患者さんに合わせて「なんの情報が必要なのか」を、目的を持って情報収集することが大切です。

    ここまでできると、収集した情報が、次回に説明する「アセスメント」で使い易い情報にすることができます。

    収集した情報はメモではなく直接「記録用紙」に記入する!

    また、学校によってルールが違うとは思いますが、できるならメモではなく記録用紙のOデータに直接記入していくのが良いです。

    ベッドサイドで患者さんと話しながらの場合は別ですが

    情報をメモに取る ➡ 家や待機部屋に戻ってから記録用紙に書き直す

    この「書きうつす作業」って、二度手間で面倒くさいですよね?

    ほんの「数分」の違いかもしれません——
    でも、長い実習期間の中で、この数分の積み重ねが、「寝れる実習になるか」、「寝れない実習になるか」の分かれ目の1つです。

    小さな「時間の積み重ね」を減らし、あなたの実習が「寝れる実習」になりますように。

    学校や実習先の病院のルール上、病棟にメモしか持っていけないという場合もあるかと思います。

    そういった場合は、「ここはアセスメント1に使う呼吸循環に関して書くページ」などアセスメント用紙に合わせてメモのページを作っておくと、あとでアセスメントし易くなり、時短になります。

    漫画の主人公のようにイメージしてみる

    収集した情報は「文章」ではなく「映像」でイメージをしてみましょう。

    もちろん、情報収集で得た情報はメモをします。
    アセスメントをするために文章を書かない…というわけにはいきません。

    ですが、文章化だけした情報よりも、自分の頭の中で情報を映像化した方が記憶に定着しやすくなります

    また、自分で情報を整理してイメージするので、情報の理解度も上がります。

    例えば
    右麻痺の患者さんを受け持って、実際ベッドサイドに行った時に

    え、えーと…右麻痺だから…こっちか?あれ?逆か?

    なんてことありませんか?

    実習だと受け持ちは1人ですが、臨床に出ると7人受け持ちや夜勤は20何人とか受け持つこともあります。

    そんなに多いと
    ○○さんは右麻痺、△△さんは左麻痺、▢▢さんは注意障害があって…
    と処理しないといけない情報が多すぎて
    「あれ、〇さんは右麻痺だっけ?左麻痺だっけ?」
    と、情報が混乱することがあります。
    ※まあ、患者さんを直接見ればちゃんと思い出すんですけどね

    でも、映像で患者さんをイメージして

    自分がベッドサイドに立って、自分から見て左側が麻痺してる…

    と、頭の中で映像としてイメージしておくと

    △△さんは左と…

    といった感じにスムーズに思い出せます

    ちなみに、私は麻痺側をイメージするときには、頭で「○○さんは右麻痺あり」と映像で患者さんをイメージしながら、右側の腕や手をポンポンって触ります。
    これは、映像に合わせて「感覚(触覚)」を使って覚えるためです。

    こうすると、ベッドサイドに行って患者さんの顔を見たときに、右手を触った感覚も思い出すので、より思い出しやすくなるんです。
    覚えるのが苦手な私が行っているので、間違いないです!

    情報は「カルテや患者さんから収集するだけ」じゃない

    ここまで、カルテからの情報収集の仕方をお伝えしてきました。

    情報収集は「カルテと患者さん」から行うもの!

    ——と、思っている人も多いんじゃないでしょうか?

    でも
    意外とカルテに書かれていない、本人の好みや性格などの情報を看護師やコメディカルが持っていることがあります。

    また
    慣れないカルテの中から、どうしても必要な情報を探し当てられないという問題も
    実習に行っていれば出てくると思います。

    つまり、「情報収集はカルテと患者さんから直接取るもの」って思ってると、入手できない情報があるということです。

    情報収集は、カルテと患者さんから直接取らなければいけないものではなく
    そこで働いてる人たちから聞き取っても良いんです

    働いてる人たちを情報収集のツールとして使うことも考えてみましょう。

    ただし
    これには1つ注意点があります。

    それは
    すぐに聞かないことです。

    あくまでも、これはある程度自分で情報収集をしたあとに行う
    いわば最終手段です。

    情報収集をした形跡がなく、最初から無邪気に

    この人ってどんな人なんですか?

    なんて聞いてしまうと

    自分でちゃんと情報収集したの?

    と言われてしまうのがオチです。

    そうならないために、自分で情報収集をして、取りきれないところ・分からないところを

    ずびばぜん…(すみません)
    ここまで調べてみたんですけど
    分からなかった(見つからなかった)ので
    ○○について教えていただけますか?

    という感じに

    調べる努力はしたけどダメだったので教えてください

    と、自分で調べてから、「調べても分からなかった」という意思を伝えましょう。
    ※あと「誰に聞くか」も大事ですね…
     不機嫌じゃなさそう・教えてくれそうな人に聞きましょう

     理不尽に怒る人も中に入るので…


    情報収集って、大事だけど難しい…

    そう思って、この記事を読んでみた。
    でも、実習って情報収集だけが難しいわけじゃない。

    明日の実習———
    行きたくないなぁ。

    そんなふうに感じているあなたに。
    明日の実習への憂うつが少し軽くなるヒントをまとめました。

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    完璧じゃなくていい

    情報収集としてのポイントとは
    少しずれるかもしれませんが
    心構えとして伝えておきたいことがあります

    それは

    1日2日で完璧な情報収集を求めない

    ということです

    実習のスケジュールは
    学校にもよると思いますが
    実習1~2日で情報収集して
    3日目or4日目くらいまでに
    問題抽出・計画立案をして
    ケアを実施していく
    という流れだと思います

    そのため
    計画立案までに

    完璧に情報を取りきらないと
    計画立案ができない

    と思ってしまい
    焦る人がとても多いです

    でも
    実際に働きだしてからは
    確かに入院して「その日のその勤務中」に
    計画立案までするんですが
    じゃあそれが
    完璧な情報収集のもと、個別性のある計画が立てられているか…
    と言ったら
    勿論そんなことはありません

    最初のうちは
    疾患や年齢などからみんなに共通する問題・計画…に近いものです
    それを日々実施と評価・修正を繰り返していき
    「個別性のあるケア」にしていくんです
    いわゆる「PDCAサイクル」というやつですね

    なので
    1日や2日で「完璧」な情報収集なんで出来ない
    実は
    そんなものは誰にも求められてはいないんです

    一生懸命いろんな所から情報を取るのは
    もちろんなんですが
    それでも
    「完璧にとり切れなくても大丈夫」
    「情報は追加して日々修正していくもの」

    と知っていれば
    プレッシャーを感じず
    少しは楽に実習(情報収集)に臨めるんじゃないかと思います

    まとめ

    時系列で読みストーリーを理解する
    情報を取る割合を決める(入院前後と直近の情報を多めにする)
    細かい部分の情報収集はアセスメント用紙の項目を参考にして
     「目的」を持つ
    映像として頭の中でイメージする
    ・担当の看護師から情報収集するのもアリ(聞き出したい所を明確にしておく)
    ・情報収集は最初から完璧じゃなくてもOK!日々追加していくもの!

    これで今回の
    「情報収集編」は終了となります
    いかがだったでしょうか?

    他にも
    実習が辛い、記録が苦手という方のために
    「事前学習の仕方」から「上手な振り返りの発表の仕方」まで
    ポイントを書いているので
    良かったら参考にしてみてください

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