



この記事の冒頭では、家族が介護に協力してくれないため
ワンオペで義母を介護している女性を描いた4コマのリード漫画を掲載しています。
終わりのない介護に心身の疲労を積み重ねていく心の動きを通して、本編のテーマへとつながる導入部分です
在宅で家族を介護していると、心も体も限界を感じてしまうことはありませんか?
「介護をしているのに感謝されない」
「夜眠れず、心も体も疲れ切っている」
「イライラして家族に当たってしまう自分が嫌になる」
Yahoo!知恵袋などを見ても、「介護疲れ」「心労」という言葉で悩みを相談する人は少なくありません。介護は長期戦になりやすく、出口の見えないトンネルを歩いているように感じる方も多いのです。
本記事では、介護を続ける中で起きやすい「心労の原因」と「具体的な解決法」を整理しました。
さらに、すぐに実践できるセルフケア方法や信頼できる相談窓口も紹介しています。
介護をしていると「自分の気持ちにふたをしてしまう」ことが多いですが、介護は一人で背負うものではありません。この記事が、あなたの心を少しでも軽くするきっかけになれば幸いです。

【この記事を書いた人】
・看護師(臨床経験10年以上)/家族ケア専門士として活動
・国立大学非常勤講師(高齢者看護学実習指導教員)
・グリーフケア専門士取得
・カウンセラー
・集中治療室・救急外来から在宅医療・介護施設まで幅広い現場を経験。
・韮崎市からの依頼を受け、年間60件以上の介護認定調査を実施。
介護による心労の主な原因
1. 身体的な負担
入浴介助や移動のサポートなど、介護は体を酷使します。
腰や肩に慢性的な痛みを抱える人は少なくありません。
介護の仕事や看護師をしている人は、他の仕事をしている人に比べて、腰痛になるリスクが 2.5倍 もあると言われています。
参考:保健衛生業における腰痛の予防|厚生労働省
また、睡眠不足が続くと疲労が積み重なり、気持ちの落ち込みにもつながります。
2. 精神的なプレッシャー
「介護を完璧にこなさなければ」という責任感が強い人ほど、心の疲れは大きくなります。
認知症の症状への対応や、先の見えない不安が重なり、気づかぬうちに心をすり減らしてしまうのです。
3. 家族関係のストレス
「自分だけが介護を背負っている」と感じる孤独感は大きなストレスになります
夫や兄弟が協力してくれない不満が、心労をさらに大きくします。
心労を和らげる3つの方向性
介護の心労を軽くするには、次の3つを意識しましょう。

- 心のケア:気持ちを整理し、自分を責めない習慣を持つ
- 体のケア:体の疲れをやわらげ、健康を守る
- 制度・サービスの活用:支援を取り入れ、介護を一人で抱え込まない
次の章では、それぞれを具体的な方法に分けて紹介します。
心のケア ― 気持ちにふたをしない工夫
ここでは、今日からできる簡単な心のケアを4つ紹介します。
1. 感情を書き出す「心のノート」
介護中は「怒り」「悲しみ」「疲れ」をため込みがちです。毎日ノートに一言でも気持ちを書き出すと、頭の中が整理されやすくなります。
2. 深呼吸で心をリセット
イライラしたら3秒吸って6秒吐く呼吸を繰り返しましょう。心拍数が落ち着き、気持ちの波が和らぎます。
3. 誰かに話す
人の悩みの8割は話をすることで解決すると言われています。
実際に目の前にある問題が、話をするだけで解決するわけではないかもしれません。
ですが、私を含めて皆さんも話を聞いてもらって、気持ちが落ち着いた経験があると思います。
気持ちが落ち着くことで、冷静な判断ができようになり、問題が解決しやすくなります。
話を聞いてもらう相手としては、地域包括支援センターや介護相談窓口などが、状況や気持ちを理解もしてもらいやすく適切です。
しかし、身近な人、地域の人に話しにくい、顔を見られて家庭内の話をするのは嫌と方もいるかと思います。
そんな時は、オンラインコミュニティやSNSなどを利用するのも良いでしょう。
「自分だけじゃない」と思えるだけで気持ちは軽くなります。
4. 自分を責めない言葉を口にする

今日も頑張った!



私はよくやってるっ!
と自分に声をかけてみてください。
声に出すと、不思議と心が少しやわらぎます。
鏡で自分の顔を見て自分に声を掛けるのも効果的なので、ぜひ試してみてください。
毎日の介護の中で、「イライラする自分が悪い」と自分を責めてしまうことがあると思います。
「自分を責めないで」と言われても、すぐにそう考えるのは難しい——。
・自分を責めないためにできることは?
・自分を責めないための考え方ってあるの?
そう考えたあなたの疑問の答えを、この記事にまとめました。


体のケア ― 腰痛・肩こりを和らげる習慣
心のケアをして、気持ちが整ってきたら、次は体のケアです。
ここでは、腰痛や肩こりを中心に簡単にできる体のケア4選をお伝えします。
1. 腰を守る簡単ストレッチ(1日10分)
椅子に座って片足を前に伸ばし、腰からゆっくり前屈して10秒キープ。太ももの裏を伸ばすことで腰痛を予防できます。
👉 記事に挿入するイラスト(図1:腰の負担を減らすストレッチ)で視覚的にわかりやすく解説。
2. 介助は腰ではなく膝を使う
人を支えるときは腰だけでなく、膝を曲げて大きな筋肉で体を支えましょう。
3. 10分の昼寝でリフレッシュ
深く眠らずに短時間目を閉じるだけで脳が休まり、気持ちも落ち着きます。
4. 肩回しエクササイズ
両肩を耳に近づけ、後ろに大きく回す動きを5回。血流がよくなり、肩の重さが軽減します。
制度・サービスの活用 ― 一人で抱え込まない
また、毎日のセルフケアは大事でも、自分一人で介護を続けていくと、必ずどこかで無理が生じます。
介護は1人で抱えてはいけません。
まずは、あなた自身のことが一番大事です。
では、自分のことを大事にするには、どうしたらよいか?
ここからは、自分を護るために頼るべき場所(施設・サービス)について紹介します。
1. デイサービスを利用する
デイサービスとは、介護保険を利用して、「日中の間、ご家族を施設内で看ていてくれる」サービスです。
食事の提供や入浴、排せつ介助などをしてくれます。
週1回でも利用すれば、その時間を「自分の休憩日」に充てることもできます。
2. ショートステイで数日のリフレッシュ
シュートステイとは、数日間、施設に宿泊することができるサービスです。
介護者自身がしっかりと「心と体の充電」をする時間を持つことができます。
3. 地域包括支援センターに相談
家族の介護についての相談や、認知症のような行動・言動が見られるようになってきて「どうしたら良いの?」と感じた時は、まずは地域包括支援センターに相談してください。
地域包括支援センターは、介護の総合窓口です。
介護サービスの利用方法や介護制度の紹介をしてくれます。
👉 厚生労働省:地域包括支援センターについて
1.デイサービスや2.ショートステイなどの介護サービスを受けるためには、要介護認定が必要です。
要介護認定の申請は、各市町村にある地域包括支援センターが窓口になっています。
※地域ごとに地域包括支援センターの名称が違うことがありますが、基本的なサービス内容に違いはありません。
介護が始まったばかりの方や、介護が必要になりそうという場合は、まずは地域包括支援センターに相談するのが良いでしょう。
すでに要介護認定を申請済みの場合は、地域包括支援センターの担当、もしくは担当のケアマネジャーがいます。
それぞれの担当にご相談ください。
4. 家族会やオンラインコミュニティに参加してみる
各地域やオンライン上には、多くの家族会やコミュニティが存在します。
例えば、認知症の家族会、がん患者の家族会、ダブルケア(子育てしながら介護をしている人)の家族会、男性介護者の会など、それぞれの状況に合わせた様々な家族会やコミュニティがあります。
ご自身の状況に合うものを選ぶと、より良い情報共有や分かってくれる仲間ができます。
同じ立場の人と話すことで「自分だけじゃない」と安心することができます。
困ったときに頼れる相談窓口リスト
介護による心労は、一人で抱え込む必要はありません。
「どこに相談すればいいかわからない」という方のために、すぐに利用できる窓口をまとめました。
1. 地域包括支援センター
- 対象:65歳以上の高齢者やその家族
- 内容:介護サービスの利用方法、心労や不安の相談、福祉制度の紹介
- 利用方法:お住まいの市町村に必ず設置されています。役所や市のホームページで「地域包括支援センター」と検索すると最寄りの窓口が見つかります。
2. 自治体の介護相談窓口
- 対象:在宅介護をしている家族全般
- 内容:介護保険の手続き、サービス利用の相談、介護者の心労や不安の相談
- 利用方法:各自治体の役所・福祉課やホームページに電話番号が記載されています。
3. 日本介護支援専門員協会(ケアマネ協会)
- 対象:介護サービスを利用中、または検討している人
- 内容:ケアマネジャーへの相談、介護サービスの選び方や活用方法
- 公式サイト:日本介護支援専門員協会
4. こころの健康相談統一ダイヤル
- 対象:介護で心が限界になりそうな方、強い不安やうつ状態を感じる方
- 内容:専門の相談員が電話でサポート
- 電話番号:0570-064-556(全国共通・年中無休)
5. 家族会・介護者の会
- 対象:同じ立場の介護家族とつながりたい方
- 内容:介護経験者同士で悩みを共有、情報交換、心の支えになる活動
- 代表例:全国認知症の人と家族の会
👉 これらの窓口は、「疲れたときにちょっと話す」「制度の情報を確認する」など小さな一歩から利用できます。
「自分だけで抱え込まなくてもいい」と思えるきっかけとして、ぜひ活用してください。
まとめ
介護の心労は、誰にでも起こりうる自然な反応です。
- 心を整える(書く・呼吸・話す)
- 体を労わる(ストレッチ・休憩)
- 支援を取り入れる(制度・サービス・相談窓口)
これらを少しずつ取り入れることで、介護を続ける力になります。
介護は一人で抱えるものではありません。
「休むことも介護の一部」です。どうか自分を責めず、必要なサポートを受け取ってください。


このブログは、看護師(臨床経験10年以上)、家族ケア専門士が書いています
集中治療室・救急外来・内科・外科・整形外科・訪問看護・特別養護老人ホーム・デイサービスなど、幅広い医療・介護現場を経験
介護認定の認定調査員として、韮崎市からの依頼を受け、年間60件以上の要介護認定調査を行い、介護制度と在宅介護の現場にも精通
国立大学非常勤講師(高齢者看護学実習指導教員)
心理学・カウンセリングを15年以上学び、現在はカウンセラーとしても活動
【資格・実績】
・ 看護師
・家族ケア専門士
・DMAT隊員
・グリーフケア専門士
・認定調査員(年60件訪問)
・ハンドケアセラピスト
・アロマテラピー検定1級
・ヒューマンギルドにてアドラー心理学・カウンセラー養成講座修了
・ユマニチュード基礎講座修了
「医学的知識 × 心理学的支援 × リラクゼーション」を組み合わせて
介護をするご家族の身体と心を支えるための活動をしています。
自社サービスの紹介(自然に提案)
SoRaでは、在宅介護を担うご家族に向けて、出張型リラクゼーションや介護相談を行っています。
- 「介護の合間に少し休みたい」
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そんなときに、専門的な知識を持つ看護師がご自宅やオンラインでサポートします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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