



※この記事の冒頭では、人間関係の中での自分の繊細さに悩むHSPの女性を描いたリード漫画で
「HSPのキャパ」をテーマに共感から理解やすくしています。
夜、ベッドに入ってから「今日も気を使い過ぎて疲れた」とため息をついていませんか?
- ちょっとした一言に気持ちが振り回される
- 周りは普通にこなしているのに自分だけヘトヘトになる
- 人間関係に気を遣いすぎて、部屋に帰るとどっと疲れる
繊細さを抱えながら頑張っているあなたなら、このような経験があるのではないでしょうか?
「私ってキャパが狭いのかも…」
「もっと強くならなきゃ」
「どうして私だけこんなに疲れるんだろう…」
そんな風に自分を責めてしまうあなたに、今日はまったく新しい視点をお伝えしたいと思います。
実は、HSPのあなたがキャパオーバーになりやすいのは、キャパが狭いからではありません。
むしろキャパが広すぎるからなのです。
「え?どういうこと?」と思われるかもしれませんね。
この記事では、なぜHSPの方がキャパオーバーになりやすいのか、その本当の理由を解説します。
そして「キャパが広い」という新しい視点から、日常でその広いキャパを上手に活かす具体的な方法もお伝えします。
読み終わる頃には、これまで「弱み」だと思っていた繊細さが、実は「強み」だったと気づけるはずです
※この記事では「キャパ」という言葉を使います。
キャパは「キャパシティ(容量・許容量)」の略で、日常的に多く使われる言葉です。本記事では「キャパ」で統一して表現していきます。

【この記事を書いた人】
・看護師(臨床経験10年以上)/家族ケア専門士として活動
・国立大学非常勤講師(高齢者看護学実習指導教員)
・グリーフケア専門士取得
・カウンセラー
・集中治療室・救急外来から在宅医療・介護施設まで幅広い現場を経験。
・年間60件以上の認定調査実施。
HSPとキャパオーバーの関係
ここでは、HSPとは何か?
HSPが持つ「DOSE」と呼ばれる4つの特性を簡単に紹介していきます。

HSPとは?
HSP(Highly Sensitive Person)とは「人一倍敏感な人」のこと。
人口の15〜20%が当てはまるといわれます。
音・匂い・人の感情などの刺激に敏感に反応してしまうため、日常生活でキャパオーバーになりやすい特徴があります。
HSPには、DOSEと呼ばれる4つの特徴があります。
D:深く処理する(Depth of processing)
O:過剰に刺激を受けやすい(Overstimulated easily)
S:感情反応が強く、共感力が高い(Emotional reactivity & Empathy)
E:些細な刺激を察知する(Sensitive to Subtleties)
これら4つ全てに当てはまる場合、HSPの可能性が高いと言われています。
HSPの4つの特徴(DOSE)
では、HSPの持つ特徴「DOSE」がどのようなものなのか、それぞれ見ていきましょう。

D:深く処理する(Depth of processing)
- 小さいことからもよく考えられる
- 1つのことから多くのことを考えられる
- 予測が得意だったりもする
- 考えすぎて行動に移すまでが遅いことがある
O:過剰に刺激を受けやすい(Overstimulated easily)
- 会話の中の小さな変化に対して必要以上に反応してしまう
- 自然の中の音や色、香りなどを敏感に感じ取る
- 音や香りなどの小さな刺激でも、集中が途切れてしまう
- 「そんなこと気にしなくても大丈夫」と困っていることを
分かってもらえないことがある - 刺激を受けやすいので、柔らかい物や穏やかな音など
刺激が少ないものを好む傾向にある
S:感情反応が強く共感力が高い(Emotional reactivity & Empathy)
- 人の考えや感情をリアルに想像ができる
- そして、想像したモノが大抵当たっている
- ドラマや漫画など現実のものではないモノにも強く共感して感情が動く
- 人だけではなく、音楽や動物や自然に対しても、感情移入できる
- 悩み事を聞くのが得意
- でも、自分のことのように感じてしまうため疲れることがある
- 周囲の人の感情を受け止めやすく、気疲れしやすい
E:些細な刺激を察知する(Sensitive to Subtleties)
- 以前に会った人の小さな変化にも気づくことができる
- 声のトーン、言葉選び、口元の動き、足音など
- 小さな違いに良くも悪くも気が付く
- 雰囲気や空気などの曖昧なモノを正確に感じ取りやすい
- 間違い探しが得意
これらDOSEの特性が重なることで「普通の人より情報処理量が多い」状態になり、結果としてキャパオーバーに陥りやすいのです。
繊細過ぎる自分で生きづらさを感じている方。
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HSPがキャパオーバーになる原因とは?
この章では、HSPがなぜキャパオーバーになりやすいのか?
その仕組みを例えを使ってわかりやすく説明します。
キャパオーバーを「コップと水」で考えてみる

情報 = 蛇口から出る「水」 / あなたのキャパ = 水を受ける「コップ」と考えてみましょう。

キャパオーバーとは、このようにコップ(キャパ)から、水(情報)があふれた状態。
つまり、水(情報)の量に、コップ(キャパ)の大きさが合っていないということです。
ここで、多くの人は「水があふれるのは、コップが小さいから」と考えがちです。
キャパオーバーになる2つのパターン
人がキャパオーバーになる時は、次の2つのパターンが存在します。
ここでも前の章に引き続き、コップ(キャパ)と水(情報)を例に解説していきます
パターン1:情報が少なくキャパも狭い

いくら少量の水でも、小さなコップならすぐに満杯になってしまいます。
受け取る情報が少なくても、キャパが狭ければキャパオーバーになるということですね。
パターン2:情報が多くキャパが狭い

大量の水が流れてくれば、どんな大きさのコップでもあふれてしまいます。
コップが小さければ、より早く水はあふれてしまいます。
大量の情報も、ある程度キャパが大きければ、何とか受け止めることができます。
しかし、キャパが狭ければ、大量の情報なんて受け止められるはずもありません。
このように、一般的にキャパオーバーをしやすい=キャパが小さいと捉えがちです。
しかし、HSPは違います!
HSPの隠れたキャパオーバーのパターン:実はHSPは「キャパが広い」
HSPは、上に挙げた2パターンとは違い、受け取る情報が多いことでキャパオーバーになる、この第3のパターンの人が多いんです。
HSPは
- 他の人が気づかない小さな情報も拾う
- その情報を深く処理する
- 常にたくさんの情報を処理し続けている
というDOSEの特性があるため
同じ「水」であっても

・水の種類は軟水?硬水?
・水道水なのか、ミネラルウォーターなのか
・匂いはどう?
・水の温度は?
・あとどれくらいでコップから溢れる?
・関係ないけど、なんか水滴の音が気になってきた…
など、1つの情報から多くの情報を受け止めて、そこから更に深く考えて行きます。


つまり、受け取る情報量が、人の何倍も多いんです。
HSPは人より多くの水(情報)を入れてしまうため、たとえコップが大きくても(キャパが広くても)、水がすぐにあふれてしまう(キャパオーバーしてしまう)のです。
これが、HSPがキャパオーバーになりやすい理由です。
HSPがキャパオーバーになる実際の場面例
例えば、職場で同僚と話している時


【一般的な人が受け取る情報】
・会話の内容
であるのに対し
【HSPが受け取る情報】
・会話の内容
・相手の表情の微妙な変化
・声のトーンの違い
・周りの人の反応
・部屋の温度や明るさ
・背景の音
これだけの情報を同時に処理しているんです。
いくらキャパか広かったとしても、多くの情報を同時に処理していれば疲れるのは当然です。


では、多くの情報を同時に処理してしまうHSPがキャパオーバーにならないためには、どうしたら良いのでしょうか?
日常生活で実践できる工夫を、次の章で解説していきます。
HSPのキャパの広さを活かす3つの実践方法
この章では、HSPのキャパの広さを前向きに活かすために、日常生活で実践できる具体的な方法を紹介します。すぐに取り入れられる工夫を中心に解説していきます。
キャパの広さを活かす実践方法1:情報の断捨離をする


HSPは自動的に多くの刺激を受け取るため、意識的に「入ってくる情報を減らす工夫」が必要です。
スマホ通知をオフにする、SNS時間を制限する、静かな環境を選ぶなどが有効です。
情報過多は交感神経を刺激し、自律神経のバランスを崩します。
静かな環境で過ごすことは、副交感神経を優位にして心身を回復させる効果があります。
キャパの広さを活かす実践方法2:エネルギーの優先順位をつける
「キャパは広いけれど無限ではない」という認識が大切です。
1日の中で「必ずやること3つ」を決める!
それ以外は余力で対応しましょう。
行動科学の研究によると、人は「決定疲れ(decision fatigue)※1」によって集中力が低下します。
優先順位を決めて取り組むことで、無駄な決定の回数を減らし、脳のエネルギーを節約できます。
※1「決断疲れ」:決断を繰り返すことによって脳が疲労し決断力が低下すること
キャパの広さを活かす実践方法3:休息を先にスケジュールする


HSPは「疲れてから休む」ではなく「疲れる前に休む」がポイントです。
予定表に先に休息時間を組み込むことで、キャパオーバーを未然に防げます。
日光を浴びると「セロトニン」が分泌され、夜は睡眠ホルモン「メラトニン」に変化します。
適切な休息と日光浴は睡眠リズムを整え、心身のキャパ回復に直結します。
キャパの広さを活かす実践方法4:体を動かす(有酸素運動)
軽いウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、脳内のセロトニン分泌を促し、ストレスホルモン(コルチゾール)を減らす効果があります。
日光を浴びながらの運動は自律神経の安定に寄与し、心身のキャパ回復に直結します。
短時間でも継続することが大切です。
キャパの広さを活かす実践方法5:呼吸法でリセットする
腹式呼吸やマインドフル呼吸法は、副交感神経を優位にして心拍や血圧を落ち着けます。
特に「4秒吸って、4秒止めて、8秒で吐く」呼吸法は即効性があります。
呼吸は自律神経に直結するセルフケアの基盤です。
緊張したときや人間関係で疲れたときに試してみましょう。
キャパの広さを活かす実践方法6:ヨガやストレッチで緊張をほぐす


ヨガや軽いストレッチは、筋肉の緊張を緩めて自律神経のバランスを整えます。
就寝前に取り入れると睡眠の質が向上し、翌日のキャパを回復させる効果があります。
心理学的にも、体をほぐすことで心も解放されやすくなるため、HSPにとって有効な方法です。


まとめ:HSPはキャパが狭いのではなく広い
- HSPは情報を多く受け取り、深く処理するため疲れやすい
- キャパ自体は広く、むしろ繊細さゆえに高機能
- 情報制限・優先順位・休息管理でキャパを最大限に活かせる
自分を「キャパが狭い」と責める必要はありません。
むしろ「広いキャパをどう活かすか」に視点を変えることが、HSPが楽に生きるカギとなります。
相談を希望する方へ
HSPのキャパオーバーで悩んでいる方に向けて、看護師としてオンラインカウンセリングも行っています。
HSPの特性を理解したカウンセリングで、あなたの悩みを一緒に整理し、具体的な対処法を見つけていきます。
無理に一人で抱え込まず、安心してご相談ください。


このブログは、看護師(臨床経験10年以上)、家族ケア専門士が書いています
集中治療室・救急外来・内科・外科・整形外科・訪問看護・特別養護老人ホーム・デイサービスなど、幅広い医療・介護現場を経験
認定調査員として年間60件以上の要介護認定調査を行い、介護制度と在宅介護の現場にも精通
国立大学非常勤講師(高齢者看護学実習指導教員)
心理学・カウンセリングを15年以上学び、現在はカウンセラーとしても活動
【資格・実績】
・ 看護師
・家族ケア専門士
・DMAT隊員
・グリーフケア専門士
・認定調査員(年60件訪問)
・ハンドケアセラピスト
・アロマテラピー検定1級
・ヒューマンギルドにてアドラー心理学・カウンセラー養成講座修了
・ユマニチュード基礎講座修了
「医学的知識 × 心理学的支援 × リラクゼーション」を組み合わせて
介護をするご家族の身体と心を支えるための活動をしています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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