

親の体調が気になる
物忘れが増えた気がする
離れて暮らす親のことが、以前より気になるようになった。

でも、まだ「介護」と呼ぶほどではない気もする…。
ご両親がこのような状態の時、そう感じている方も多いのではないでしょうか。
介護は、排泄介助や認知症の見守りなど、ハッキリと手がかかるようになってから始まると思われがちです。
しかし
実際には、親を心配し始めた時点で、家族の中ではすでに介護が始まっているかもしれません。

この記事では、親の介護はいつから始まるのか、どんな時に親が気になり始めるのか、そして早く気づくことで何が違うのかを整理します。
- 親の介護はいつから始まるのか
- どのタイミングから介護を考え始めればよいのか
- 親を気にし始めた時が、なぜ介護の始まりなのか
- 親の変化に早く気づくとどんな意味があるのか
- 「まだ介護じゃない」と思う時期にできること
介護は「手がかかるようになってから」始まるわけではない
「介護」と聞くと、トイレの手伝いや食事の手伝い、認知症の見守り、寝たきりの家族の世話などを思い浮かべる人が多いと思います。
そのため、
そこまでじゃないから
うちには、まだ介護は関係ない
と考えやすいんです。
たしかに、
介護という言葉からは、どうしても「ハッキリ手がかかる状態」が連想されやすいものです。
でも実は、
介護はもっと前の状態から、始まっているかもしれません。
たとえば、
・親の体調を前より心配するようになる
・離れて暮らす親のことが仕事中にも気になる
・なんとなく「最近ちょっと変だな」と感じる
まだ、
オムツ交換をしているわけでも、毎日付き添っているわけでもないかもしれません。
それでも、
親の変化に気づき、気にかけ、様子を見ようとしている時点で、家族の関わり方は少しずつ変わり始めています。
介護は、明確な『何かの手伝い』をしているかどうかだけで、キッパリと線を引けるものではありません。
目に見える「大変な介助」が必要になる前の段階
家族の中で心配事や気になることがある
=家族の関わり方が変化している
つまり、
この「気になった」時点で、介護はすでに始まっていると言えます。
「排泄介助が必要になってからが介護」
「認知症と診断されてからが介護」
こう考えてしまうと、
本当はもっと前から、家族は親の変化に戸惑い、どう支えたらいいかを考え始めていたのに―。
そんな介護の始まりに気づくのが遅れてしまいます。
介護の始まりは年齢では決まらない
ここで気になるのが、
「では親の介護は何歳くらいから考えればいいのか」
という点かもしれません。
65歳になったら?
75歳になったら?
——と年齢で区切って考えたくなるかもしれませんが、介護の始まりは年齢だけでは決まりません。
実際には、
関節の痛みや病気、認知症、脳血管疾患、けがや入院など、さまざまなきっかけで介護は始まります。
人によっては、まだ親が高齢とまでは言えない時期から、家族が介護を意識し始めることもあります。
だからこそ、
年齢そのものよりも、「親の変化を気にかけ始めたかどうか」で考えることが大切です。
なぜ「気になった時」が介護の始まりと言えるのか
- 体調が気になる
- 転ばないか心配
- 最近の物忘れが気になる
- 離れて暮らしている親の様子を、前より気にかけるようになる
こうした「気がかり」が増えると、あなたは自然にご両親への関わり方を変えているのではないでしょうか。
たとえば、
- 電話の回数が増える
- 帰省した時に家の様子を前よりよく見る
- 通院や買い物のことを気にする
- この先どうなるのかを考え始める
このように、
まだハッキリとした介助をしていると言えない段階だとしても、家族はすでに親を支える側として動き始めています。
つまり、
今まで気にしなくても大丈夫だったことに対して、「気にする」という行動に変化があったという点で、あなたの生活に影響していると言えるんです。
その変化は、最初は小さな変化かもしれません。
でも、「気になった時」をただの心配で終わらせず、介護の入り口かもしれないサインとして受け止めることが大切なんです。
早く気づけると何が違う?
親の変化に早く気づけること、小さな変化を早いうちから気に掛けておくことには、大きな意味があります。
なぜなら、
・本人の気持ちや希望を聞きやすい
・家族の中で状況を共有しやすい
・必要になりそうな情報を少しずつ集められる
・急に困った状況になっても慌てにくくなる
というように変化がまだ小さいうちなら、落ち着いて向き合いやすいからです。
反対に、
「まだ介護じゃない」と思って気になるサインを見過ごしてしまうと、問題が大きくなってから一気に対応しなければならなくなることがあります。
ニュースなどで
老人ホームが〇年待ち、数百人待ち…
という話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
これは施設入所に限った話ではありませんが、問題が大きくなってから動こうとすると、このように後手に回りやすくなってしまいます。
気づくことができれば、その時点から、少しずつ心の準備や情報収集を始められる。
早く気づくことは、必要以上に不安になるためではなく、これから先に慌てないために大切です。
「親の介護が気になり始める」のはどんな時?
「介護の始まり」は、人によって違います。
認知症のように分かりやすい変化がきっかけになることもあれば、病気やけが、暮らしぶりの変化、性格の変化など、もっと小さな違和感から始まることもあります。
だからこそ、
「こうなったら介護が始まった」と、1つの基準で線を引くのは難しいものです。
大切なのは、排泄介助や寝たきりのような分かりやすい状態になる前でも、家族が「気になる」「心配だ」と感じる変化があることです。
ここでは、
親のことが気になり始める「変化」について、いくつかの視点に分けて見ていきます。
身体の変化や病気が気になり始めた時
「介護のきっかけ」と聞くと、多くの人はまず認知症を思い浮かべる人のではないでしょうか。
たしかに、
テレビなどで見かける物忘れや徘徊などの症状が出てくると、家族が介護を意識する大きなきっかけになると思います。
でも実は、
もっと前に、体の変化に気がついていて、親を心配し始めていた。
ということも少なくありません。
実際にご家族からは、こんな言葉を聞くことがありました。
先日、認定調査でご家族の話を伺っている時
今思い返すと、〇ヵ月前から、トイレの失敗が出てきていて。
あの時にはもう認知症が始まってたのかもしれませんね…
とおっしゃっていました。
このように、
変化には気がついてはいたけど、それが始まりだとは思っていなかった
というご家族は多いんです。
たとえば、
・少し前までは元気に外出していたのに、
何かと理由をつけてと外出しなくなった
・退院してから体力が戻らず、家で寝ている
時間が増えた
・以前よりふらつくようになり、見ていない時
に転ばないかがとても心配
・病院で高血圧や心不全などを指摘され、
「生活習慣に気を付けて」と言われたが
一人暮らしでちゃんとできるか心配
・骨折や入院をきっかけに、一人で今まで通り
に生活するのが難しそうに見えてきた
・通院の回数が増えて付き添いの回数も増えた
このように、
両親が高齢になってくると、様々な変化に対して、家族は心配になります。
大きな介助が必要になったわけではなくても、

このままで大丈夫かな…



前と同じようには暮らせなくなってきたかもしれない
と感じ始めた時点で、家族の関わり方は変わり始めます。
その「家族の関わり方の変化」こそが、介護の始まりです。
もの忘れや判断の変化が気になり始めた時
物忘れや判断ができなくなってきたというのは、「介護のきっかけ」として、想像しやすい変化だと思います。
たとえば、
・同じ話を繰り返すようになった
・財布や通帳など大事な物をよく失くす
・同じものを何個も買ってきてしまう
・電話で話していて、話がかみ合わないと
感じることが出てきた
・車の運転でヒヤッとする場面が増えた
・スマホや自宅の電話の怪しい連絡にだまされ
そうになった
こうした変化があると、家族としては「年齢のせいかな」で済ませてよいのか迷う所だと思います。
ですが、認知症と診断される前の段階でも、このような変化があると、家族は不安になるものです。
もの忘れや判断の変化が気になり始めると、家族が心配するのは記憶力そのものだけではありません。
安全に暮らせるか、今まで通りに生活を続けられるかという不安が、少しずつ大きくなっていきます。
こうやって心配して、今後のことを考え始めることも十分な「介護」と言えます。
暮らしぶりや行動などの生活の変化が気になり始めた時
体調やもの忘れのような分かりやすい変化がなくても、暮らしぶりや行動の変化から親のことが心配になり始めることもあります。
最初は小さなことでも、以前との違いが重なると、「何かあったのかな」「前とは少し変わってきたかもしれない」と感じやすくなります。
たとえば、
・実家に帰るたびに、部屋が前より散らかって
いるように感じる
・冷蔵庫の中に賞味期限切れのものが増えた
・好きだった買い物や趣味に行かなくなった
・家で寝ている(横になっている)ことが
多くなった
・近所の人や友人との付き合いが減った
・「面倒だから」と言って、身の回りのことを
後回しにするようになった
これくらいの変化だと、ご本人は
大丈夫、大丈夫
年のせいよ
と言うかもしれません。
ですが、
生活の変化は、体調や気力の低下、判断力の変化、社会的な孤立などが背景にあることも考えられます。
だからこそ、
暮らしぶりや行動の変化は、ただの生活習慣の変化として片づけず、親の「今の状態」を知る手がかりとして見ることが大切です。
性格や雰囲気の変化が気になり始めた時
親が心配と感じることの中には、ハッキリした出来事はないけど、「なんとなく前と違う」がきっかけになることもあります。
たとえば、
・マメな性格だったのに、急にめんどくさがる
ようになった
・以前より怒りっぽくなった
・ちょっとしたことで不安がるようになった
・表情が乏しくなったように感じる
・会話の反応が薄くなった気がする
・何をするにも気力がなさそうに見える
こうした変化は、言葉にしにくいぶん、家族も
「気のせいかな」
「年取ったもんね」
と、心配しつつも「大丈夫かな」と思い、見過ごしてしまいやすい変化かもしれません。
でも、
一緒に過ごしてきた家族だからこそ気づく“違和感”もあります。
性格や雰囲気の変化の背景には、体調の悪化、気力の低下、孤立、認知機能の変化などが隠れていることもあります。
だからこそ、
「前と比べて何か違う」という変化から、大きな変化になっていく可能性もあるんです。
ハッキリ説明できない変化でも、家族にとっては親を気にかけ始める十分なきっかけになります。
「まだ介護じゃない」と思う時期に家族ができること
親の変化が気になっていても、
「でも、まだ介護というほどではない気がする」
と思うことは自然です。
実際、ハッキリした介助が必要なわけではない段階で、「介護」という言葉を使うことに抵抗がある人も多いと思います。
ただ、
まだ介護じゃないと思う時期だからこそできることもあります。
たとえば、
- 気になることは、そのまま流さずに覚えておく
- 家族の中で「最近ちょっと気になるね」と、気になっていることを共有してみる
- 親の体調や暮らしぶりを、前より少し丁寧に見てみる
- 今後必要に👆そうな情報を、今のうちから少しずつ調べておく
- 治療中の病気や飲んでいる薬について知っておく
ワンポイントアドバイス☝🏻



特に、「家族の中で気になることを共有」と「病気や飲んでいる薬を知っておく」ことは、すごく大事です!
この2つが意外と上手くできていないご家族が多いなと看護師として感じることがあります、
病気や薬に関しては、受診や入院の際に、ご本人が答えられず、ご家族も知らなくて困ってしまう…ということも、医療現場ではよくある場面です。
ここで大事なのは、何か大きな行動を急ぐことではありません。
すぐに介護保険を申請する、すぐに施設を探す、という話ではなく、
「気になる変化を見過ごさないこと」
「家族の中で心配を言葉にできること」
が、まず最初の一歩です。
そして、
少し先のことを考えた時に、
といった情報を知っておくと、必要になった時に慌てにくくなります。
まだ介護じゃないと思う時期は、何もしなくてよい時期ではありません。
大きく動く前に、静かに備え始められる時期でもあるのです。
次に読むのにオススメの記事
認知症とはどういうものなのか知っておきたい方は、こちらの記事で基本を確認できます。
要介護認定とは何か知っておきたい方は、こちらの記事で流れを分かりやすく解説しています。
認定調査とは何か、どんなことを見られるのかを知りたい方は、こちらの記事で詳しくまとめています。
まとめ:介護は、心配し始めた時から静かに始まっている
介護は、排泄介助や認知症の診断がついてから、急に始まるものではありません。
親の体調が気になったり、もの忘れが増えたように感じたり、暮らしぶりや雰囲気の変化に違和感を覚えたりする。
こうした小さな気がかりが生まれた時、家族の中ではすでに親への関わり方が変わり始めています。
それは、
まだ「介護」とは呼びにくい段階かもしれません。
でも、
その時期をただの心配で終わらせず、これから先を考えるきっかけとして捉えることには、大きな意味があります。
早い段階で気づければ、必要になった時に慌てにくくなりますし、本人の気持ちや家族の考えを落ち着いて整理しやすくなります。
だからこそ、「まだ介護じゃない」と思う時期を軽く見ないことが大切です。
親を心配し始めた時こそ、介護の始まりを考えてよいタイミングなのです。


このブログは、看護師(臨床経験10年以上)、家族ケア専門士が書いています。
集中治療室・救急外来・内科・外科・整形外科・訪問看護・特別養護老人ホーム・デイサービスなど、幅広い医療・介護現場を経験。
介護認定の認定調査員として、韮崎市からの依頼を受け、年間60件以上の要介護認定調査を行い、介護制度と在宅介護の現場にも精通。
国立大学非常勤講師(高齢者看護学実習指導教員)
心理学・カウンセリングを15年以上学び、現在はカウンセラーとしても活動。
【資格・実績】
・ 看護師
・家族ケア専門士
・DMAT隊員
・グリーフケア専門士
・認定調査員(年60件訪問)
・ハンドケアセラピスト
・アロマテラピー検定1級
・ヒューマンギルドにてアドラー心理学・カウンセラー養成講座修了
・ユマニチュード基礎講座修了
「医学的知識 × 心理学的支援 × リラクゼーション」を組み合わせて
介護をするご家族の身体と心を支えるための活動をしています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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